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OSの位置付けが変わった “最後のWindows”静かにローンチ

OSとOffice市場は縮小へ

 The Vergeは無償アップグレードに踏み切ったMicrosoftのビジネスモデルを分析する。

 無償アップグレード、段階的なローンチなどは、これまでの収益構造からの変化も意味する。「Microsoftの目標は、Windows 10とさまざまなWindows端末、XboxやHoloLensなどのコンピューティングプラットフォームで動く“ユニバーサルな”アプリを推奨すること」とし、エコシステムに参加させ、より上位の製品にグレードを上げるよう促すことや、企業へのライセンス販売で収益を得ると説明する。

 そして、Windows 10だけではなく、ドル箱事業の「Office」についてもiOSとAndroid向けに無料でアプリを公開するなど「フリーミアムモデル」を採用する点を挙げた。

 だが、コンシューマーを中心に多くのユーザーはWebとモバイルがあれば事足りるようになっている。ユニバーサルアプリは、Microsoftが期待するほど生まれてくるのだろうか、と疑問も投げかける。

 MotleyFoolはさらに、無料アップグレードによってPCのライフサイクルが長くなることから、PC市場の縮小傾向が一層加速する、と短期的なインパクトを予想している。Windows 10の採用が増えることがMicrosoftの最重要課題だが、OEMの弱体化を招くとすれば、Microsoftにとってもよいニュースとはいえない。Windows事業部の売り上げは既に、2013年の190億ドルから150億ドルに縮小しているという。

 Andreessen HorowitzのアナリストBenedict Evans氏も「WindowsとOfficeは縮小する」「エンタープライズプラットフォームと生産性ソフトは土台から変化する」とし、これらの“結合組織”を再構築する必要があると主張する。「どのようなものになるのかはわからないが、(Microsoftが)敗北を認めることが最初のステップだ」と手厳しい。

(岡田陽子=Infostand)