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ソーシャルの次のプラットフォームへ布石 FacebookのOculus買収

 Facebookがバーチャルリアリティ(VR)技術のOculus VRを20億ドルで買収すると発表した。大型買収を矢継ぎ早に仕掛けて、ビジネス界を驚かせているFacebookだが、今回は、はやりのウェアラブルで、しかもハードウェアを持つ企業ということから、従来の戦略内の買収なのかに関心が集まっている。その狙いは何だろうか。

「モバイルの次にくるプラットフォーム」

 3月25日、FacebookはVR技術ベンチャーのOculusを20億ドルで買取すると発表した。今年2月末には、スマートフォン向けIMアプリのWhatsAppを190億ドルという破格の額で買収すると発表しており、それから1カ月足らずでのことだ。Oculusは、WhatsAppより規模こそ小さいが、VRヘッドセットを発表して注目を集めたベンチャーだ。

 Oculusは2012年にクラウドファンディングのKickstarterのプロジェクトとしてスタート。「Electronic Entertainment Expo」 (E3)にVRヘッドセットを出展し、同年末に開発者向けのプロトタイプヘッドセット「Oculus Rift」の提供を開始した。350ドルのRiftにはこれまでに7万5000台の注文があったという。Riftはゴーグルのようながっしりしたヘッドマウントヘッドセットで、左右の目に合わせて1個ずつ計2個のディスプレイを搭載。3D動画の表示や高度なモーション追跡技術も備える。

 開発中のOculusソリューションは現在、ゲーム用途がほとんどだ。ソーシャルネットワークのFacebookがOculusを買収する意図は、プレスリリースで次のように説明している。

 「現在、バーチャルリアリティのアプリケーションはゲームにとどまっているが、Oculusが既存のゲームで持つアドバンテージを、通信、メディア、エンターテインメント、教育などの新しい業界に拡大していく」「潜在性を考えると、バーチャルリアリティ技術は次のソーシャルとコミュニケーションプラットフォームの有力候補として浮上する」

 さらに自身のFacebookページで買収を報告したCEOのMark Zuckerberg氏は、はっきりと「バーチャルリアリティは新しいコミュニケーションプラットフォームだ」と言い切っている。

(岡田陽子=Infostand)