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ついにサポート終了 長命OS「Windows XP」の“引退”

告知キャンペーンが遅すぎる?

 もちろんWindows XPのサポート終了は、一般ユーザーにも大きな影響がある。Financial Timesによると、家庭の個人用PCもいまだに40%程度がXPを利用しているという。これらが4月8日のサポート終了後、パッチをあてられることなくインターネットに接続したら、マルウェアの餌食になる恐れがある。

 業界もこれを問題視しており、セキュリティ企業のAvastは「脆弱なOSは、悪意あるハッカーに簡単にターゲットにされてしまう。XP以外のOSに感染させる踏み台として利用される可能性がある」とPC Worldに述べている。同社のデータでは、すでにXPはWindows 7よりも6倍多く攻撃されているという。

 InformationWeekは、一般ユーザーがWindows XPを使い続ける理由として「アップグレードが割高」「Windows 7/8.1とアプリケーション互換性がない」「XPで十分」「インターネット接続には使っていない」などの声があると紹介している。

 Windows IT Proは、こうしたユーザーサイドの現状を踏まえ、Microsoftの対応にも落ち度があったと批判。MicrosoftがXPサポート終了についての告知を大々的に展開するのが遅すぎたと主張する。Microsoftは、Microsoft Storeで利用できる50ドルのギフトカード、90日間無料サポート、データの転送などの移行作業をセットにしたWindows 8移行キャンペーンを用意しているが、これを開始したのが3月半ばだったことをWindows IT Proは挙げ、「1年遅い。Microsoftは直前になるまで何もしなかった」と述べている。

 また、もう一つの問題としてWindows 8での変更点を挙げる。Windows 8はタイル式のユーザーインターフェイスを採用しており、スタートメニューがないなど、XPから使い勝手が大きく変わった。さらにアプリケーションの互換性の問題もある。

 Windows 8に巨大な投資を行っているMicrosoftの状況に理解を示しながらも、Windows IT Proは「素晴らしい顧客サポートを示したいのなら、XPからの移行にあたって、(8だけでなく)Windows 7という選択肢にも同レベルのサポートを提供すべきだ」と注文をつける。Windows 7の延長サポートは2020年1月までの予定だが、その間に新しいOSをゆっくり評価してもよいのではというのだ。「XPからの移行パスは、最も抵抗の少ない方法であるべきだ」と主張する。

 XPのサポート打ち切りへの対応では、このほかクラウドからのアプローチも盛んだ。企業向けサービスベンダーは、仮想デスクトップの売り込みに力を入れている。企業が業務環境をクラウドに移して、効率化と低コスト化を図れるというものだ。

 13年間。あまりに長かったWindows XPの終了には、システムを構築してきたユーザー、ポストPCをにらむMicrosoft、ビジネスチャンスにかけるサービスベンダー、それぞれの思惑が交錯している。なおさまざまな動きがありそうだ。

岡田陽子=Infostand