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ついにサポート終了 長命OS「Windows XP」の“引退”

アップグレードが遅れた理由

 Windows XPのサポートが今年終了することは、はるかに前から分かっていた。なのに、なぜ作業が進んでいないのだろう。

 セキュリティ企業AlienVaultのJaime Blasco氏は、Windows XPでしか動かないカスタムソフトウェアを構築してしまっている点をFinancial Timesに対して挙げた。Windows 7や8にアップグレードするとこれらのカスタムソフトウェアも作り直さねばならない。Blasco氏は「なぜ古いソフトウェアを使い続けるのか?とこれらの企業に聞くと、“まだ動くし、動いているものをあれこれ変えたくない”との答えが返ってくる」と述べている。

 「われわれ金融業界がXPを好む理由は、XPは百戦錬磨のOSだからだ。長年の戦いを経験しており、その過程中で行われた微調整は大きなメリットだ」と銀行業界団体のAmerican Bankers Associationのリスク管理ポリシー担当バイスプレジデント、Doug Johnson氏はReutersに語っている。

 Johnson氏はまた、人手不足という課題も挙げる。銀行の中には、OSアップグレードに合わせてATMの機能強化を行いたいと思っているところもあるようだ。米国の銀行の多くが、カードを磁気カードリーダーに滑らせる手法を用いているが、これをICチップベースに変えたい考えだ。例えばJPMorganは、アップグレードに合わせてデータ暗号化などの強化を行うことも予定している。

 2008年のリーマンショックによる金融危機の資金難も影響しているようだ。RBSは2013年末、CEO自らがコンピュータシステムの改善を発表しており、毎年14億ポンド(約23億ドル)を投じる計画だ。この時、CEOのRoss McEwan氏は、同行が長い間、技術への投資を怠ってきたと述べたという。

(岡田陽子=Infostand)