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OpenStackは大企業に浸透するのか DellとRed Hatが提携 (OpenStackへの支持増と批判的見方)
(2013/12/16 06:00)
OpenStackへの支持増と批判的見方
DellとRed Hatの提携はもちろん、OpenStackプロジェクトそのものにも大きな後押しとなる。OpenStack関連では、ほかにも、数日前にOracleがOpenStack Foundationのコーポレートスポンサーとして出資することを発表していた。Oracleは同時に、「Solaris OS」「Oracle Linux」「Oracle Virtual Compute Appliance」「Oracle VM」など多数の製品にOpenStackのコンポーネントを統合する計画を発表した。
また「Oracle Exalogic Elastic Cloud」「Oracle Compute Cloud Service」「Oracle Storage Cloud Service」については、OpenStackとの互換性を実現する予定という。「顧客はプロプライエタリシステムにロックインされるよりも、共通の管理インタフェースを持ちたいと望んでいる」とOracleは説明している。
OracleのOpenStack支援は「大きな意味を持つ」と451GroupのアナリストMichael Cote氏は言う。Oracleが持つSolarisコミュニティをOpenStackにもたらすためだ。Oracleの狙いについて「顧客の維持」「OpenStackの活用」の2つを挙げている。
Cote氏はOpenStackについて「(アーリーアダプターから普及期に入るための)“キャズム(溝)”を越える必要がある」と述べたが、Gartnerのアナリスト、Alessandro Perilli氏は、もっと厳しい見方を示している。
Perilli氏は「なぜベンダーがOpenStackを大企業に提供できないのか」と題したブログをGartnerの公式ブログに発表。さまざまな点からOpenStackの現状を分析した。指摘は主に、(1)OpenStackができることとできないことが明確ではない、(2)OpenStack周りのビジネスモデルに透明性がない、(3)ビジョンがなく、長期的な差別化になるかがわからない(4)実用的な考え方がない――の4つだ。
例えば、OpenStackディストリビューションは同氏が追跡しているだけでも17種類あるが、「純粋なOpenStackにどのような価値を与えるのか、違いは何なのかが分かりにくい」とPerilli氏は言う。そしてメディアが“ハイプ”を生んでいるが、「実際は、OpenStackの大企業での普及率はほんのわずかにすぎない」と明かす。「ベンダーはOpenStackをどう説明すべきかを理解しておらず、大企業顧客にアピールできていない」とPerilli氏は分析する。
このPerilli氏のブログは、クラウド専門家の間で議論を巻き起こした。OpenStackをNASAと共同で開始したRackspaceはInfoworldへのコメントで「革新的な大企業はOpenStackを採用している。“エンタープライズ機能”を(インフラレイヤーを必要とせず)アプリケーションレイヤで構築することで、迅速に動くことができるからだ」と反論している。
Infoworldでクラウドを担当するDavid Linthicum氏は「ビジョンと実用主義がないという指摘については当てはまる」などと一部を認めている。もちろん、DellとRed HatはOpenStackの将来性を信じており、Red HatのRadhesh Balakrishnan氏は提携にあたってPCWorldに対し、「成熟という点では、まだ取り組むべきところがたくさんあることは間違いない」としながらも、「ソフトウェアの中核技術は運用面からみて堅牢」と述べている。
今年のクラウド業界では、パブリッククラウド最大手のAmazon Web Services、それにVMwareやMicrosoftらに混じり、OpenStackおよびOpenStackに参加するベンダーの動きが常に話題となってきた。OpenStackが、どう進化するのか、Linuxと同じようにベンダーは手を組みつつ競合できるのかが今後のポイントになる。