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「信頼性ゼロ」と「普及・拡大」が同時進行 2014年クラウド業界展望

 新技術が登場して普及するまでの段階を示す、Gartnerの「ハイプ曲線」によると、クラウドは「流行期」の次の「幻滅期」に入ったところだ。だが、2014年も企業によるクラウド導入や拡大の傾向は続きそうだ。今年はITにとってどんな年になるのか、クラウドを中心に各専門メディアは予想をしている。2014年はまた一歩、クラウドは成熟に向けて技術開発が進み、利用が広がる。そんな楽観論を業界は抱いているようだ。

順調に拡大するクラウド市場

 クラウドは米国から着実に世界に広まっている。アナリストやメディアの見方も、「2016年までクラウドコンピューティングの利用は拡大し、新しいIT支出の多くを占める」(Gartner)、「アジア太平洋地域のクラウドコンピューティング市場は2013年の69億ドルから2020年は319億ドルへ」(Forrester Research)、「SaaSはオンプレミスの3倍ペースで成長しており、エンタープライズアプリケーション支出の12%を占めている」(Boston Consulting Group)など、右肩上がりを予想するものがほとんどを占めている。

 451 Researchのサービス部門TheInfoProの調査もその1つだ。昨年9月に発表した報告書によると、世界クラウド市場は2016年まで年平均成長率36%増で成長し、2016年に195億ドル規模になるという。また、クラウドコンピューティング専用の予算を持つ企業は38%あり、うち69%が2014年に支出を拡大させる見通しだという。投資の内訳としては、「社内のプライベートクラウド」がトップで35%。「クラウド事業者の査定・戦略立案」(33%)、「IaaS」(31%)、「SaaS」(30%)、「技術刷新」(8%)と続いている。2012年後半に行った前回調査と比較してプライベートクラウドは減少したが、クラウド事業者の査定、IaaS、SaaSなどはすべて増えている。

(岡田陽子=Infostand)