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「iTV」か「iWatch」か、それとも……AppleのPrimeSense買収

 Microsoftの「Kinect」に3Dセンサー技術を提供しているPrimeSenseをAppleが3億ドル以上で買収することが明らかになった。ユーザーインターフェイスを一変させる可能性を持った技術を手に入れることになる。一挙一動が注目されているAppleのこと、ここから何が生まれるのかについて、メディアからはさまざまな推測が出ている。PrimeSense買収の目的は何だろう。

Microsoftの「Kinect」を実現した3Dセンサー企業

 PrimseSenseは、3Dセンサー、マシンビジョン技術などを開発するイスラエルのベンチャー企業で2005年の創業だ。同社の技術は、デジタル端末で3Dで周囲を観測し、イメージストリームに同期。これによって、マシンが人の動きやジェスチャーを認識したり、家具などのオブジェクトを分類したり、また壁や床などの位置情報を取り込めるという。PrimseSenseの名を世に知らしめたのは、Microsoftが2010年に発表して人気製品となった「Microsoft Kinect」だ。ジェスチャーを認識してゲームの制御が行えるモーションセンサーカメラで、PrimeSenseによる技術ライセンスで実現した。

 同社のライセンスを受けている企業は多い。製品としても3D Systemsのコンシューマー向け3Dスキャナー「Sense 3D Scanner」、QualcommのAR(拡張現実)アプリプラットフォーム「Vuforia」向けのマシンビジョン機能「Smart Terrain」、ヘルスケア支援ロボット「RP-VITA」などがある。

 AppleがPrimeSenseに買収を持ちかけているといううわさが出たのは今年7月のことで、まずイスラエルの地元紙Calcalistが報じた。そして11月下旬、AppleとPrimseSenseの両サイドが買収を認めた。Appleの広報担当は「Appleは規模が小さな技術企業を買収することがあり、通常、買収の目的や計画について説明を控えている」とパターン通りにコメントしている。買収額は非公表だが、3億ドルから3億5000万ドルとみられており、7月の当初予想2億8000万ドルを上回る額となる。

(岡田陽子=Infostand)