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オープンなハードウェアを実現? 組み立て式スマートフォン「Project Ara」 (アイディアには賞賛、だが現実的ではない?)

アイディアには賞賛、だが現実的ではない?

 メディアは、Project Araのアイディアを喝采をもって迎えた。「興奮する(exciting)」(New York Times)、「ものすごく興味深い(terribly interesting)」(Forbes)、「素晴らしい(sounds great)」(International Business Times)など絶賛する言葉で評する。

 だが、たいてい、その後に「but…(しかし)」と続く。

 たとえば、通信分野の業界紙FierceWirelessは、今のスマートフォンの状況を挙げ、「環境面からみても(なぜ1つの部品が壊れたからといって、携帯電話を丸ごと捨てなければならないのか?)、ユーザー面からみても(もっとパワフルなプロセッサーを利用するのに1年も待たなければならないのか?、携帯電話メーカーが使わせたいカメラを使わなければならないのか?など)、賞賛に足る目標だ」と持ち上げたあと、「だが、上手くいくとは思えない」と疑問を投げかけた。

 その理由は、マス市場の受け入れが進みそうにないことだ。たとえば、高解像度のスクリーンと安いプロセッサを組み合わせた場合、パフォーマンスが劣るスマートフォンができるだろう。技術に詳しくない一般消費者なら、その理由も分からずに「カスタマイズはダメだ」と不満を抱くはずだという。

 もう一つの疑問点がコストだ。モジュールメーカー側にしてみれば、どのぐらいの注文があるのかも分からずに大量製造できない。大量製造なしには価格は下がらない。消費者にしてみれば、注文後何週間も待たなければならないなら発注する気になれない――。FierceWirelessは「このタイプの操業のコストベースが分からない」というIDCのアナリストのコメントを紹介している。

 技術面でも課題は多そうだ。携帯電話メーカーは綿密な計算によって部品をデザインしており、これが安全と小型化につながっているとTimeは説明する。分解して直交型モジュールにすればスペースに無駄が生じる、塵や水からの保護はどうするのかなど、解決を求められることは多い。

 専門家も楽観していない。コンサルタントのDavies Murphy Groupのアナリストは「大きなニュースではない。何かしらの需要に対応するものではないし、デバイスを集めて作るメリットはないからだ」とBBCにコメントしている。また著名な携帯電話アナリストのBen Wood氏(CSS Insight)は「レゴのように携帯電話を作ることを商業的に実現するには、課題が多い。消費者が求めているのは小さく魅力的な端末で、モジュラーデザイン(でこれを実現すること)は非常に難しい」と述べている。

 一方で、このアイディアには企業向けのニーズがあるとの見方もある。CIO Todayは、バーコードリーダーやキーパッドなど特定のハードを追加したい企業の場合、従来のカスタマイズだと割高になるが、Project Araならば、こうしたニーズに応えられるのではないか、というCurrent AnalysisのAvi Greengart氏のコメントを紹介している。

 Forbesも、レーザー測定器など一般的ではないがニーズの高い端末をProject Araで容易に構築できるとする。「携帯電話、あるいはインターネット接続を持ったパワフルなガジェットと考えるのではなく、そのものを考えてみれば非常にパワフルなコンピューターである」として、他の分野から出てくるアイディアに期待を寄せている。

(岡田陽子=Infostand)