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身売りから一転、CEO入れ替えで新方向を探るBlackBerry

 身売り先を探していたBlackBerryが突然、方向転換して業界を驚かせた。同社は11月4日、金融企業から10億ドルの投資を受け入れ、CEOを入れ替えて再建を図ると発表した。新たに会長に就任して、再生への指揮をとるのは、かつてデータベース企業Sybaseをどん底から救ったJohn Chen氏だ。だが、前途は多難だ。

身売り先探しから再建に方向転換

 BlackBerryは9月、Fairfax Financial Holdingsを中心とした企業連合に、47億ドルで売却することで基本合意したと発表していた。今回これを覆し、Fairfaxらが転換社債による10億ドルの投資を行うことになった。FairfaxはBlackBerryの株式約10%を保有する最大株主だ。同時にCEOのThorsen Heins氏は辞任。John Chen氏を会長に迎え入れ、新しいトップが決まるまで暫定CEO兼務とすることも発表した。Heins氏は約2年前に共同創業者ら共同CEO体制からCEO職を引き継ぎ、8月から売却先を含む代替戦略を検討する特別委員会のメンバーも務めていた。

 かつてプッシュEメールでビジネスマンを中心に人気を獲得したBlackBerryだが、iPhoneやAndroid端末の猛攻を受けて窮地にある。シェアは大きく減少し、Gartnerの2013年第2四半期のスマートフォン調査では上位5社にすら入ってない。OS別シェアは2.7%。前年同期の5.2%からさらに減少し、Microsoftに抜かれて4位となっている。財務状況も厳しく、直近の四半期では9億6500万ドルの損失を計上した。9月には、全体の40%にあたる4500人規模の人員削減も発表していた。

 QWERTYモデルからタッチ画面の機種を増やし、Heins氏の下で最新OS「BlackBerry 10」も発表した。社名もResearch In Motion(RIM)からBlackBerryに変更するなど再起を図ったが、延期の後にやっと投入した「BlackBerry 10」は再起の“起爆剤”というにはほど遠い状態だ。BlackBerry 10を搭載したフラッグシップ機「BlackBerry Z10」は9億ドル以上の在庫調整評価損を計上している。

(岡田陽子=Infostand)