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AIエージェントの時代へ Microsoftが新組織を立ち上げ

物理AIとの融合

 エージェント型AI、あるいはAIエージェントの動きは、AIが次の段階に入ることを象徴している。

 Forbesの寄稿者でGoogle Xアドバイザーを務めるTimothy Papandreou氏は、1月はじめに開催された「CES」でのNVIDIAの創業者兼CEO、Jensen Huang氏のスピーチを紹介しながら「エージェント型AIと物理AIにより、数兆ドル規模の新しい市場が生まれる」とする。

 Huang氏はCESの基調講演で世界基盤モデル「Cosmos」を発表した。Papandreou氏は、AIエージェントとマルチモーダルなどの技術により、日常的なタスクや管理業務などの処理を自動化できるとする。それだけでなく、Cosmosなどの世界基盤モデルによって物理世界と統合され、運輸、ヘルスケアなどさまざまな産業で大きな経済(エージェントエコノミー)が生まれると予想する。

 だが、AIエージェントとエージェント型AIの定義が曖昧であることが示すように、この分野はまだ成熟までに時間がかかる。複数の業界向けのAIエージェントを多数試したというPapandreou氏は、「1年前と比べると進歩を遂げているが、まだ初期段階」とする。

 一方、先述のMarr氏は、具体的な課題を以下のように指摘する。まず、意思決定プロセスが「ブラックボックス」化する問題だ。人間の価値観に沿った決断を下すことを確保する倫理的な考慮が重要、とする。また、データのプライバシーとセキュリティ、雇用なども課題に挙げている。