Infostand海外ITトピックス

GoogleのAI検索「AI Overview」 コンテンツパブリッシャーからは懸念の声も

クリックしなくなる?

 必要な情報をまとめて先に表示してくれるのなら、多くの場合、リンクをクリックしなくても、ユーザーには事足りてしまう。

 このことは、検索エンジン経由で読者を獲得し、Webの広告料で運営されている多くのコンテンツパブリッシャーにとっては死活問題だ。「パブリッシャーが記事を提供し、Googleがトラフィックを送る」という両者の微妙な関係が崩れてしまうからだ。

 全米2000以上の新聞社が参加する業界団体News/Media AllianceのCEO、Danielle Coffey氏はCNNに対して「(AI検索は)われわれのトラフィックに壊滅的な打撃を与え、コンテンツを収益化するクリック数をますます減らしてしまう」と述べている。これは地方ニュースサイトから、グローバルな通信社までが共通して抱いている懸念だ。

 Google側もこうした声を理解して回答を用意していた。Reid氏はブログやメディア向けのブリーフィングでこう述べている。

 「AI Overviewを利用することで、人々はより複雑な質問に答えるため、より多様なWebサイトを訪れるようになります。また、AI Overviewに含まれるリンクは、同じクエリに対して従来のWebリスティングのページ表示よりも、より多くのクリックを獲得することが分かっています」

 だが、コンテンツパブリッシャー側は半信半疑のようだ。

 New York TimesのテクノロジーコラムニストKevin Rose氏は、実際にPerplexityの検索をテストししているうち、「基本的にリンクをクリックすることを一切やめてしまった」という体験を告白している。

 Perplexityの場合は2月時点でわずか1000万ユーザーだが、Googleは数十億人だ。「もしGoogleが検索エンジンに変更を加え、発信トラフィックを数パーセントでも減らせば、すべてのパブリッシャーがそれを感じることになる」(Kevin Rose氏)とする。

 AI Overviewは数週間で米国のユーザーに順次展開し、年内にはさらに多くの国で計10億人以上が利用できるようになるという。