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GoogleのAI検索「AI Overview」 コンテンツパブリッシャーからは懸念の声も

AI検索への転換は避けられない

 AI OverviewはGoogleが1年前に発表し、Google検索の開発初期段階の機能をテストできるSearch Labsで「Search Generative Experience(SGE)」として提供していた。

 しかし、生成AIはそれまでの技術と次元が違い、GoogleのAIの取り組みの中でも最もそのビジネスの核心に迫る。Webトラフィックや広告収入に大きな影響を与えるからだ。

 Gartnerは今年2月、検索エンジンのボリュームが2026年までに従来比で25%減少するとの予想を発表した。「生成AIソリューションは従来の検索エンジンで実行されていたユーザーのクエリを置き換え、回答エンジンの代わりになりつつある」(Gartner)といい、検索マーケティングのシェアが大きく変わるとみている。

 生成AIサービスは、キーワードを使ったこれまでの情報検索を根本から変える。そしてキーワード検索市場で90%のシェアを持つGoogleは、検索広告が主要な収入源で、2023年の広告売り上げは1750億ドルにのぼる。

 Googleが従来型の検索を捨てて、AI検索に移行するのは難しいだろうとの見方が強かったのだが、AI Overviewは同社が根本的に変わりうることを示したとも言える。

 一方、ライバルたちは既にAI検索に邁進している。

 MicrosoftはWindowsにCopilotを組み込んでAIのWeb検索を可能にした。また、元Googleの研究者らが立ち上げたWeb検索スタートアップのPerplexityは10億ドルの評価額をつけている。

 同社は検索結果から長文の詳細な回答を生成するサービスを展開しており、Wall Street Journalによると売り上げは1000億ドル。2月のデスクトップとモバイル版の訪問数は8.6%増の5000万人という。

 さらにOpenAIも、検索エンジンを開発中と言われている。当然、Googleだけが旧来のやり方にしがみついているわけにはいかない。