Infostand海外ITトピックス

社名変更から1年 Metaの内憂外患

理解している社員は6割弱

 今年8月15日、Zuckerberg氏がFacebookでアバターを披露した際、失笑を買った。このとき、Twitterでは「2002年のニンテンドー・ゲームキューブの“World Baby”のリリースのようだ」など、からかうツイートが流れた。Forbesなどがこれを取り上げ、「インターネット全体が笑いものにした」と皮肉った。

 Zuckerberg氏のアバターは、4日後にアップグレードされてInstagramで公開された。そのデザインを担当したというMetaのグラフィックアーティストが舞台裏を明かしたツイートを投稿している(その後削除され、別のユーザーのリツイートが残っている)。それによると、Zuckerberg氏のアバターは最終的に決まるまで、4週間かけて約40をデザインした。大きな労力を注いだものだった。

 Metaを取り巻く環境は厳しい。内部ではCambridge Analytica(CA)事件から続くプライバシー懸念や、今夏の元セキュリティ責任者のアルゴリズム操作の内部告発。外部からはTikTokなどの新サービスの台頭、Appleのプライバシーと広告規制など、依然、逆風のなかに立っている。

 「SNSからメタバース」という転換は、同社のイメージ一新の策でもある。しかし、事はZuckerberg氏の思惑通りに進んでいないようだ。

 10月9日付のNew York Timesは現社員を含む関係者への取材をもとに、Meta社内の様子を伝えている。

 同紙が入手した5月の内部の社員調査では、自社のメタバース戦略を理解しているとした者は58%にとどまった。「Zuckerberg氏の(メタバースへの)熱意に対して、社員の一部には懐疑論がある」とする。「優先順位が変わることについていけない」という社員の声もあるという。

 専門家も良しとはしていない。元OculusのCTOで現在はアドバイザーとして部分的にMetaにかかわっているJohn Carmack氏は、8月のポッドキャストインタビューで、ARとVR部門が100億ドルの損失を出していることについて、「憤慨している」とコメントした。

 また、Zuckerberg氏にアドバイスしている投資家でメタバース専門家のMatthew Ball氏は「Markがメタバースについて概説したことは、ほぼ全て正しい。ただ、その時期は彼が考えているよりも、もっと先というリスクがある」とNew York Timesに語っている。