Infostand海外ITトピックス

Qualcomm買収劇が突然の大統領令で終幕 メディアが支持する理由

「予想外」の大統領令

 Trump氏は買収禁止のほか、取締役の交代などBroadcomが進めてきた措置にも待ったをかけた。Reutersは3月14日付で、BroadcomがQualcomm買収を断念したと報じ、「結果を残念に思っているが、Broadcomは大統領令に従う」とのBroadcom側のコメントを伝えている。

 もともと、Trump氏はBroadcomに好意的な発言をしていた。Broadcomは昨年11月、Qualcomm獲得に向けて本社を米国に移転させる計画を発表した。この移転は当時、高い法人税などから年間5億ドルのコスト増になると試算された。BroadcomのCEO、Hock Tan氏は本社移転に加え、研究開発と製造で米国内に年間90億ドルを投資すると約束。雇用政策重視のTrump氏を喜ばせた。

 そんな中での大統領令を、Bloombergは「予想外の動き」と伝えた。Bloombergで本件を追ってきたEd Hammond氏は動画記者解説で、合意に達しているわけでもなく、話し合いがこれからという段階で大統領令が出ることは異例、と述べている。

 Hammond氏は、中国ではなくシンガポールという親米の国に本社があること、Broadcomはそもそも米国企業だったこと、BroadcomによるQualcomm買収が成立することはHuaweiが米国市場参入につながらない――などの点を挙げ、なぜ買収をストップしたのか不明確だと指摘している。