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Alexa拡大、Cortana衰退? 2018年バーチャルアシスタント勢力図は
2018年1月15日 11:28
Microsoftは必死にCortanaをアピール
Cortanaが登場したのは2013年。既にAppleが「Siri」を、Googleが「Google Now」を発表した後で、Microsoftが当時開発中だった「Windows Phone」で利用できるというものだった。
今年のCESでは、Cortanaのニュースも用意されていた。空調制御大手のJohnson Controlsがサーモスタット「GLAS」にCortanaを統合して3月にも販売するというものだ。またMicrosoftは、QualcommやAllwinnerがリファレンスデザインパートナーとなること、「Cortana Skill Kit」で開発したスキルは、「Cortana Devices SDK」ベースのデバイスで利用できることなどを発表している。
それでも、メディアの間では、Cortanaが伸びているという認識はなく、“失敗”というイメージがまとわりついている。辛口で知られるThe Registerは、「Cortanaはひどい失敗」として、その原因を分析している。
それによると、Cortanaは「音声認識の品質はずば抜けている」など技術的な強みを持つものの、市場戦略でつまずいたのだという。Amazonは、AlexaをEchoに搭載するのに加え、サードパーティに技術ライセンスして成功した。これに対し、Cortanaは両方に手を出したが、うまくいかず、Cortanaを明確に定義できずにブランド戦略でしくじったと言う。逆にAmazon Alexaは知名度をどんどん上げ、音声ベースのAIアシスタントの代名詞となった。
ZDNetは、これに加え、MicrosoftがDynamics 365 ERPとCRMでのCortana統合計画を撤回したことも、失敗の理由として挙げている。
一方のAmazonは、Alexaの普及を順調に進めてきた。2017年のCESではLG Electronicsが冷蔵庫に統合するなど、白物家電に広がり、今年のCESでは、キッチンやトイレなどのKohler、トヨタとも提携。さらに拡大させた。スキルの数は2万5000種類に達し、Cortanaの方は230種類と10分の1以下だ。
ビジネス市場はMicrosoftが強いが、バーチャルアシスタントではAmazonがAlexa for Businessで先行しつつある、とComputerworldは指摘する。「職場、そしてホテルなどコンシューマー向けの場所でAlexaが利用できることは、Amazonに大きなチャンスをもたらす」とForresterのアナリスト、J.P. Gownder氏は言う。対するMicrosoftについては、「攻撃的で、かつ拡大するAlexaの勢いを止めるためのステップが十分ではない」と解説した。