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交通機関が標的に サンフランシスコ市営鉄道ハッキング

攻撃はエスカレートするだろう

 この事件は、ちょうど発売されたばかりのアクションゲーム「Watch Dogs 2」を彷彿とさせた。プレーヤーがハッカーとなり、2016年のネットワーク化されたサンフランシスコの街で、監視カメラを操り、セキュリティロボットを遠隔操作し、大企業の陰謀を暴いていくという内容だ。

 ハッカーが都市インフラをコントロールするという設定に、ゲームファンは現実の事件を重ね合わせた。では、果たして、ハッキングで鉄道事故を起こすことができるのだろうか?

 公共交通事業者の団体であるAPTA(アメリカ公共交通協会)は2014年に「Cybersecurity Considerations for Public Transit」と題するレポートを発表し、管理システムのIT依存とともにサイバーセキュリティの脅威が増していると注意を喚起した。「サイバー攻撃は、交通機関の物理システムを破壊し、制御不能の状態にし、システムのコントロールを外部への譲渡したり、従業員や顧客の個人データを危険にさらすこと可能性がある」というものだ。

 East Bay Timesは、今回のMUNIへの攻撃は、公共の安全性という観点では重大なものではなかったとする複数のセキュリティ専門家の意見を紹介した上で、将来、もっと危険な攻撃が実行される恐れがあると伝えている。アラバマ大学バーミンガム校のコンピューター・情報科学のRagib Hasan准教授は、次のように同紙にコメントしている。

 「デジタルいたちごっとのゲームでは、危険は高まってゆく。攻撃はもっと激しくなると懸念される。もし、列車の制御を奪われたら、ハッカーがもっと大きな損害を与えられるのだ」