クラウド特捜部

クラウドをビジネスの中心に置く、サティア・ナデラ時代のMicrosoft

Power BI for Office 365の強化

 もう一つワールドワイドでサービスが開始されたのが、新しいバージョンのPower BI for Office 365だ。Power BIは、ExcelをフロントエンドとしてBusiness Intelligenceを提供するツール。Power BI自体は昨年からOffice 365で提供されていたが、今回のバージョンでは、Salesforce、SendGrid、Zendeskなどからデータを読み込んで、Power BIのビッグデータ分析にかけられるようになった。

 さらにデータソースとしては、数カ月以内に、Inkling Markets、Intuit、Microsoft Dynamics Marketing、Sage、Sumo Logic、Visual Studio Application Insights、Visual Studio Onlineなどを扱えるようになる。

 Power BIの特徴は、Excelという多くのユーザーになじみのあるインターフェイスを利用して、ビッグデータの分析が行えることにある。さらにPower BI for Office 365では、各種のデータを視覚化してWebサイトのダッシュボードに表示することもできる。もちろん、これらのデータは、ユーザーの操作に応じてインタラクティブに再分析できるようになっている。

 さらにPower BI Designerを使えば、アナリストが事前に用意したモデル化ロジックや視覚化表現を作り込むこともできる。ユーザーは、用意されたモデルを適応するだけで、多彩な分析を行うことが可能だ。

 Microsoftでは、Power BIのフロントソフトとして、Webブラウザ以外に、iOS、Android、Windows Universal Appなどアプリも用意する。

 日本国内でも、人口動態、各都道府県の人口データなど政府が持つ基礎データを取り込んだり、各自治体が提供しているオープンデータを取り込むことで、活用の範囲が広がっていくだろう。また、各社が持つCRMや在庫管理システムなどと連携することで、さまざまな分析が行えるようになるだろう。

 ただ、こういったモノはあくまでもツールであって、本来は、ツールをどのようにビジネスにフィードバックしていくかが重要になる。そのことは念頭に置いておきたい。

Power BIは、ExcelのUIを使ってさまざまな情報を視覚化できる。Excelの高いグラフ化機能を使えば、ビジュアルに優れたダッシュボードができる
Windows 10 TPの情報もリアルタイムでPower BIを使って分析されている

 なお、これら以外にもConvergence2015では、Dynamics CRMの新バージョン、2015年後半にリリースされるOffice 2016のプレビュー版の提供なども発表された。

Dynamic CRM 2015では、ダッシュボードで視覚化された情報を一目で確認できる
Office 2016に入るSkype for Business。Skypeの機能やUIとLyncを融合させたモノ。どちらかといえば、Skypeがベースになっている

(山本 雅史)