クラウド特捜部

国内クラウド事業者のメリットを生かすIIJ GIO仮想デスクトップサービス

クラウドでも問題ないパフォーマンスだが

 このテスト環境では、Windows Server 2008 R2がクライアントOSとして利用されている。いわゆるWindows 7相当のユーザーエクスペリメントを実現している環境だ。

 実際に使ってみると、クラウドで利用していることが分からないほどのパフォーマンスだ。負荷の高い作業を行わない事務処理などが中心のユーザーなら、VDI環境でも十分だろう。

 また電子メールなどに関しては、VDI上にメールクライアントをインストールすることもできるが、せっかくクラウド環境を利用しているのだから、クラウドベースのメールなどを利用した方が、セキュリティ面やOS環境の移行などを考えると便利だろう。IIJでは、マイクロソフトのOffice 365などと連携するメールセキュリティサービスも提供している。こういったサービスを組み合わせれば、非常に快適なVDI環境を利用することが可能になる。

 PCからのVDIアクセスは使いやすかったが、タブレットなどからの利用は少し問題を感じた。これは、IIJ GIO仮想デスクトップサービスの問題と言うよりも、タッチ操作のタブレットでWindowsデスクトップを利用する不便さだ。

 例えば、VDIのマウスポインタを動かすのタッチ操作だとやりにくかったり、タブレットの画面が小さいため画面上のボタンが押しにくかったりする。また、実際にWordなどで文書を作成する時には、キーボード入力が必要になる。タブレットデバイスでは、スクリーンキーボードなどが画面上に表示され、キー入力を行う。しかし、スクリーンにキーボードが表示されるため、バックのWindowsデスクトップが見づらくなり非常に使いにくい。

 Citrix Receiverでは、タッチ操作のタブレットでもVDIが利用しやすいようにしているが、タッチファーストのタブレットで、マウスやキーボードが必須のWindowsデスクトップを利用するという時点で、何らかの工夫が必要になるだろう。

 このあたりは、デバイスの変化やアプリケーションの変化が望まれる部分だ。現時点では、タブレットといえども、VDIである程度の仕事をするならキーボードやマウスが必要になってくる。

 ただ、タブレットにキーボードやマウスなど一式を用意すると、ノートPCとの違いが出てこない。多少端末代金が高くなるが、タブレットにもなる2in1のノートPCを使うといいかもしれない。

タブレットでVDIを利用する時は、キーボードやマウスがある方が便利だ

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 IIJ GIO仮想デスクトップサービスは、さまざまなオプションサービスを追加していくと、それほどリーズナブルとはいえない価格になってしまう。また、契約もAWSのように1ユーザーごとに月額という訳ではない。IIJ GIO仮想デスクトップサービスは、月額料金となっているが、数百台のPCをVDI化するというように企業全体でサービスを受けるというものだ。このため手軽に利用するということはできないが、PCのVDI化を考えている企業にとっては検討に値するサービスだ。

 また、セキュリティ面でも、WAN回線や社内LAN接続など、セキュリティ性の高いアクセスを用意しているため、金融機関や自治体などでも安心して利用できるだろう。

山本 雅史