Windows Server 2012研究所

Windows Server 2012 R2の使命は「クラウドOSビジョン」と「Server 2003からの移行促進」 (新しいテクノロジーやニーズをカバーするため)

1年でのリリースは新しいテクノロジーやニーズをカバーするため

 さて、こうした点を踏まえた上で、Windows Serverのアップデートに関する間隔のお話をします。

 今回は、Windows Server 2012がリリースされてから、1年という短期間でWindows Server 2012 R2をリリースしました。

 マイクロソフト全体では、ラピッドリリースというコンセプトにしたがって、開発できた新しい機能をできるだけ早くユーザーにお届けするという開発・提供体制を整えています。このため、Windows Serverも毎年アップデートが起こるかもとお考えのユーザーがいらっしゃいますが、そういったことにはならないと思います。

 次のWindows Serverがいつ出るのか、どんな機能を持つかは、お話はできませんが、毎年アップデート製品が登場するといったことにはならないでしょう。今回のWindows Server 2012 R2のリリースが特殊なケースだと思っていただいて結構です。

 企業にとって、毎年サーバーOSがアップデートするというのは、信じられないことなので、今後はもう少しゆっくりなスケジュールになるはずです。ただ、以前のOSリリースのスケジュールのように、4~5年間まったくアップデートがリリースされないということはないと思います。

 以前のリリーススケジュールでは、進歩の早いIT業界において、新しいテクノロジーや新しいニーズをカバーしきれないため、もう少し早いスケジュールでのアップデートになっていくでしょう。

 またサーバーOSのアップデートにおいて、マイクロソフトでは互換性を重視しています。例えば、先ほどお話ししたように、Windows Server 2012で開発されたアプリケーションは、Windows Server 2012 R2での動作するようになっていますし、今後リリースされるサーバーOSでもなるべく動作するようにしていきます。

 今まで、クライアントOSとサーバーOSは、同じOSカーネルを使うために、ほぼ同じタイミングでリリースしてきました。しかし、今後はリリースタイミングが異なってくるかもしれません。

 コンシューマーのクライアントOSに対するニーズと、エンタープライズで利用するサーバーOSに対するニーズは異なっているので、別々のスケジュールで進んでいくと思います。OSのカーネルが大きく変化する時などは、クライアントOSとサーバーOSでタイミングを合わせるかもしれませんが、マイナーアップデートでは別のスケジュールになっていくでしょう。

 今回Windows Server 2012 R2を早いタイミングでリリースしたことで、OEMベンダーやアプリケーションベンダー、ユーザー企業など、さまざまな方々からのフィードバックをいただいています。このフィードバックをもとに、スケジュールや提供形態などにも反映していきたいと考えています。

Microsoftが打ち出しているクラウドOSというビジョン
シームレスなハイブリッドクラウドがWindows Server 2012 R2により実現する
Microsoft自身が大規模なクラウドを運用しているからこそ、クラウドに対応したOSが提供できる
コンシューマー向けのクラウドサービスのベースとして、Windows Server 2012 R2が社内でも利用されている。そうしたクラウドサービスで得たフィードバックが製品に戻っている

(山本 雅史)