クラウド&データセンター完全ガイド:プロダクトレビュー DCを支える黒子たち

ニューノーマルに求められる高性能・高機能なストレージ――iStorage M520/M720/M720F

弊社刊「クラウド&データセンター完全ガイド 2020年秋号」から記事を抜粋してお届けします。「クラウド&データセンター完全ガイド」は、国内唯一のクラウド/データセンター専門誌です。クラウドサービスやデータセンターの選定・利用に携わる読者に向けて、有用な情報をタイムリーに発信しています。
発売:2020年9月29日
定価:本体2000円+税

テレワーク/DXを支えるストレージの強化が必要

 新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、私たちのビジネス/業務環境は大きく変化した。“ニューノーマル”──このコロナ禍が落ち着いたあとにも人々の働き方はさらに変化し、新しい常態として受け入れられることが予想されている。

 企業では、テレワーク向けのITインフラの整備やペーパーレス化の推進が期待されており、それにともなうデジタルデータの増大は容易に想像できる。そうして蓄積したデータを経営戦略・新規ビジネス等に活用するデジタルトランスフォーメーションも、企業競争力を高めるための重要な施策の1つだ。

 そうした状況では、データ管理を担うストレージ環境の強化が欠かせない。しかも、いまだにIT人材の不足は続いている。したがって、管理負荷が小さく、運用効率のよいストレージ製品を選ぶことが重要だ。

iStorage M720

処理性能・信頼性が強化されたiStorage Mミドルレンジモデル

 NECの「iStorage Mシリーズ」は、企業の多様なビジネス用途に対応し、高い信頼性と運用・管理業務の最適化を図れるストレージシステムだ。新製品である「iStorage M520/M720/M720F」は、従来機から処理性能を高め、信頼性を強化しており、ニューノーマルの働き方に対応したITインフラの整備を支援するという。また同社は、これらの新機種に加えて、1TBからスタートできる「クラウド遠隔バックアップサービス」も開始した。

 新機種は、iStorage Mシリーズのミドルレンジモデルを刷新したものだ。HDDとSDDを混在させたM520/M720、およびオールフラッシュストレージM720Fはいずれも従来機種と比べて大幅な性能向上が施されている。

 例えばM720FはM710Fと比較して、処理性能が最大2.3倍、データ保存容量が最大2.1倍に向上している。SSD性能を最大限に引き出すチューニングが施されており、高負荷環境でも安定したレスポンスを確保する。大容量キャッシュメモリも搭載し、アクセス頻度の高いデータのI/O性能も向上した。同数のHDDを搭載した従来機と比較して、最大で100倍の性能を発揮するという。

仮想化環境のストレージ管理を容易に

 全社的なテレワークの実現においては、VDIをはじめとした仮想化基盤の強化が課題の1つとしてあげられる。iStorage Mシリーズには、仮想化環境のストレージ管理をサポートする機能が盛り込まれている。iStorage Mシリーズは、VMware仮想化環境でストレージ管理を容易にする「VMware vSphere Virtual Volumes(VVOL)」に対応しているのが特徴の1つで、仮想マシン単位でのバックアップ/リストアが可能になる。また後述の「I/O流量制御」によって、QoSを維持したまま仮想マシンごとのスナップショットやクローニングも実現する。

 I/O流量制御とは、論理ディスクごとに上限/下限を設けて、I/Oの流量をコントロールする機能だ。負荷の高い業務が他の業務に与える影響を抑制して、複数の業務へ公平にリソースを配分し、SLAを保つ技術である。このほか、ストレージの利用効率を向上して無停止のSSD追加にも対応したシンプロビジョニング機能や、個人情報の漏えいを防止するセキュリティ機能なども充実している。

 クラウド遠隔バックアップサービスは、iStorage HSシリーズと連携して提供されるもので、貴重なデータをAmazon Web Servicesへ保管することが可能となる。1TBからBCPをスモールスタートでき、重複排除・圧縮・暗号化したデータをレプリケーションするため回線コストも抑制できるのが特徴だ。