クラウド&データセンター完全ガイド:プロダクトレビュー DCを支える黒子たち

貴重なデータを確実に守り、活用するためのソリューション――Dell EMC PowerProtect DDシリーズ アプライアンス

弊社刊「クラウド&データセンター完全ガイド 2020年冬号」から記事を抜粋してお届けします。「クラウド&データセンター完全ガイド」は、国内唯一のクラウド/データセンター専門誌です。クラウドサービスやデータセンターの選定・利用に携わる読者に向けて、有用な情報をタイムリーに発信しています。
発売:2019年12月23日
定価:本体2000円+税

データ保護で人気のData Domainを継ぐ

 現代の企業活動において、データはかけがえのない資産である。特に昨今のようなデータ活用が重視される状況では、ペタバイト級の巨大なデータを保持する組織も珍しくない。そこで重要なのが、重複排除や圧縮といったデータ削減技術だ。

 Dell EMCは、古くからデータ保護・管理技術に注力しており、中でも重複排除や圧縮といったデータ削減技術では他者の追随を許さない効率性を誇っている。特に「Data Domain」シリーズは、Dell EMCのデータ管理技術が集約されており、膨大なデータの保護と管理に優れたストレージとして親しまれてきた。

 「PowerProtect DD」は、サーバーシリーズとして定評のあるPowerEdgeのアーキテクチャに、Data Domainのソフトウェア資産を適用した新しいブランドである。旧シリーズと比べて、データ削減機能やネットワーク機能の強化、ドライブの増強など、はるかにパワーアップしているという。

サイズは小さく、パワー・容量は大きく

 PowerProtect DDシリーズの新機種はPowerProtect DD6900/9400/9900の3つで、各々DataDomain6800/9300/9800の後継機となり、いずれも大幅なパワーアップを果たしている(写真1)。

 特筆すべきは、データ容量・密度の強化だ。旧シリーズと比較して、容量効率は30%も向上したうえ、ラックスペースは39%、フロアスペースは50%、消費電力・発熱量は35%も低減される。

 具体的には、最上位のData Domain9800の物理容量は384TB~1.1PBであったものが、PowerProtect DD9900では576TB~1.25PBまで拡張された。しかも、Data Domain9800は2ラック分のデバイスで最大容量を実現していたものが、PowerProtect DD9900であれば1ラックで最大容量を実現できるようになった。

 パフォーマンスの向上も著しく、バックアップ速度は38%、リストア速度は36%も向上した。また、高速なSSDの割合を増やしてキャッシュヒット率を向上させ、旧シリーズと比べて50%の強化となる最大6万IOPSを実現している。ネットワーク機能も、25GbE/100GbEに対応する。

写真1:PowerProtect DD9900(出典:デル テクノロジーズ)

ソフトウェア機能も大幅にパワーアップ

 独自のセキュリティ機能である「PowerProtect Cyber Recovery」にも注目したい。

 バックアップデータを隔離された環境で保護しつつ、機械学習などを活用して検査し、データに対するサイバー攻撃を防ぐ効果が得られる。分離されたセキュアなデータ格納環境から自動的にリストアする機能が新たに追加され、サイバー攻撃への対策が強化された。

 仮想ソフトウェア版である「PowerProtect DD Virtual Edition」も、主要なクラウドサービスのマーケットプレイスで購入できる。オンプレミス環境とダイレクトにデータをやり取りして、PowerProtect DDの強力なデータ管理技術をパブリッククラウドで活用できるようになる。