クラウド&データセンター完全ガイド:JDCC通信
JDCC通信 第14回 データセンターにおける人材育成の仕掛け作り
2017年2月9日 17:00
データセンターは地震や火災、水害、電力・回線トラブルなどに対応できる建物や設備ばかりが重視されがちだが、実際に運用し、守っているのは“人”。よりよいデータセンター提供のためには、そうした運用者の知識や技術、スキルも併せて向上させていくことが重要だ。
データセンターの人材マネジメント
技術の進歩は速く、データセンター運用においても知識・技術の習得は欠かせない。しかし、それだけでは不十分だ。
運用は大きく4つの要素に分けられる。製品、プロセス、知識・技術、そして人である。その人と、ほか3つのつながりをマネジメントすることがデータセンターにおける「人材マネジメント」である(図1)。
悩みの種「人材育成」
データセンターはその特性上、人材育成ノウハウを他の事業者と共有しづらく、多くの事業者にとって悩みの種。業界にとっても大きな課題だ。
こうした点を背景に日本データセンター協会(JDCC)では「事業者の運用関係人材のスキル維持向上」を目的に「人材マネジントWG」を2010年8月に立ち上げた。実施中の施策は人材育成の仕組み、育成の機会、現場ノウハウの活用で、人材育成を通じてデータセンターの価値向上を目指している。
人材育成の仕組み
人材育成の仕組みとして「JDCC人材育成ガイドライン」を策定。運用プロフェッショナルを定義し、事業者の人材育成システムの策定をガイドする。最新版は2016年5月発行の第2.4版だ。
育成の機会と現場ノウハウの活用
育成の機会として研修講座と「業界コミュニティ」という相互研鑽の場を継続して提供。
研修講座は受講者(運用者)のスキルレベルに合わせた4コース。オリジナル講座の「レベル3」向けでは障害の要因分析、対策、手順書、チェックシートの研究などをJDCC収集の事例をベースにして学ぶ。受講者間の交流とそこで得られる「気付き」も好評だ。
同「レベル4」向けは運用リスク改善の研究などを通じてレベル3講座で習得したスキルを定着させる。
相互研鑽の場「業界コミュニティ」は定期イベントとして開催。構成は基調講演と小グループディスカッションで、交流の機会がない他社とノウハウを共有したり、情報交換できたりで、こちらも好評だ。
データセンターの価値向上
JDCC人材マネジメントWGは人材育成を通じて日本のデータセンターの魅力と価値の向上を目指している。今後、より一層のご支援をお願いしたい。