クラウド&データセンター完全ガイド:特別企画

データセンターで見落としがちなポイント DCの生命線「UPS」に求められる条件を徹底検証!

SmartLi UPSソリューション
ファーウェイ・ジャパン
https://e.huawei.com/jp/products/network-energy

 データセンター設備の増強ではサーバーやストレージ、ネットワークが注視されがちだが、さらに下位のレイヤーの電源は“あって当たり前”な存在であり、重要視されていないのが現状だ。しかし、電源障害が発生すれば、データセンターのIT機器は全て停止し、社会・経済活動にも多大な影響を及ぼしてしまう。つまり、電源の安定供給を支える無停電電源装置(UPS)はデータセンターの生命線ともいえ、事実、インフラとしての堅牢性や信頼性はUPSに依存する部分も多い。今、UPSの選択にはいかなる視点が必要なのか、詳しく解説していく。

世界の30%を占めるデータ量を処理する中国データセンター その厳しい要求に応えてきたUPS

 中国市場においては、中国国内のデータセンターへの投資額が年々増加の一途を辿っており、その額も2025年には7,000億元(約10兆7,400億円)を超えると予想されている。成長の背景には中国におけるデータの流通規模の増加が挙げられ、2020年に64ゼタバイト、2030年には4,096ゼタバイトにまで達すると予想され、2030年時点のデータ量は世界のデータ総量の30%を占めると予測するレポートもある。

 世界最大規模のデータ流通を支える中国データセンターでは電源の安定供給とエネルギー消費の削減は重要な課題であり、UPS製品の選定にも他国以上に厳しい目が向けられてきた。そうした中国データセンターのシビアな要求に応え、性能と機能を磨き上げ続けてきたUPSが、ファーウェイの「SmartLi UPSソリューション」だ(写真1)。

写真1 データセンターでさらに導入が拡大するファーウェイの電源ソリューション

 近年、拡張性や運用性に優れたモジュラー型UPSに注目が集まっているが、本稿では、SmartLi UPSソリューションを取り上げ、①設置スペースの削減、②電源の効率化、③障害発生時の対応、④コストの低減、の4つの観点からその優位性を検証していく(図1)。

図1 SmartLi UPSソリューションがもたらすメリット

設置面積を50%削減し収益性向上に寄与 電源効率、障害対応にも数々の優位性

 はじめに①の設置スペースの削減から見ていこう。高性能サーバーの増設はデータセンターに消費電力の増加をもたらし、電源設備の設置に必要なフロア面積も増加させてきた。ファーウェイ・ジャパン 法人ビジネス事業本部 データセンターエネルギービジネスユニット 部長の蔡行順氏は、「今やデータセンターのフロア面積のうち、IT機器が6割、残り4割が電源関連の設備に占められるケースもあります。つまり、フロアの4割がビジネスに直接的に貢献しないスペースとなっているのです」と警鐘を鳴らす。

ファーウェイ・ジャパン 法人ビジネス事業本部 データセンターエネルギービジネスユニット 部長 蔡行順氏

 対して、ファーウェイのモジュラー型UPSの新製品「UPS5000-H シリーズ」は、500kWUPS単一システムで既存の他社製品と比較した場合、設置面積と重量で50%減という省スペース性を実現。電源設備の増加傾向に歯止めをかけ、データセンターの収益性向上を支援している(図2)。

図2 最新のモジュラー型UPS「UPS5000-H 1600Kva」の特長

 ②の電源の効率化だが、一般にUPSは、AC電源が遮断されるとバッテリーからのDC電力をAC電力に変換しIT機器への電力供給を行う。しかし、このプロセスは電力損失を引き起こすため、データセンターの電力効率に大きな影響を及ぼす。したがって、電源の変換効率もUPS選択の重要なポイントとなるが、一般的なUPSの電源変換効率のロスが4%なのに対してUPS5000-Hシリーズは3%に抑えられており、25%の電力変換効率の改善がもたらされる。

 さらに、電源変換効率を向上させるための優れた機能も備わっている。その一例がファーウェイ独自の「インテリジェントECOモード」だ。これはUPSはバイパスモードで動作させ、インバータはスタンバイ状態にしておくという方式で、このモードの利用により99%の変換効率を達成。「これにより電力損失を1%以下に抑えられるようになります」と蔡氏は強調する。

 ③の障害発生時の対応でも、UPS5000-Hシリーズは数々の優位性を持つ。1つがモジュラー型UPSであるため、内部モジュールで冗長設計を組むことが可能である点だ。構成が固定された一般的なUPSで冗長構成を組もうとした場合、設計が煩雑になるほか、初期投資も上昇してしまう。対して、UPS5000-Hシリーズは内部モジュールの冗長化により単一障害点の発生を回避、投資を抑制しながら信頼性を大幅に向上させられる。「また、先述のインテリジェントECOモードにより、停電時のバッテリーへの切り替え時間がゼロで行えることも大きな優位性で、IT機器への影響を留められます」と蔡氏は説明する。

リチウムイオン電池の採用でバッテリーの寿命を3倍に長期化

 ④コストの低減を実現するため、UPS5000-Hシリーズは様々な仕組みが用意されている。1つが、メンテナンスの容易性だ。UPS5000-Hシリーズはパワーモジュール、バイパスモジュール、および制御モジュールがホットスワップ可能であるため、障害時の交換や増設、保守に要する時間を数分以内に留められる。蔡氏は、「一般にUPSの交換やメンテナンスにはメーカーのエンジニアによる作業が発生するため、交換依頼の連絡からエンジニアの現地到着、作業の開始と終了まで多くの時間とコストを要します。対して、当社のモジュラー型UPSであれば、通常のIT機器と同様、専任のエンジニアがいなくても交換作業が行えます。従来のUPSのメンテナンスで2時間40分ほどを要した交換作業が、僅か2分弱で終えられた事例もあります」と、導入メリットを語る。

 製品自体のライフサイクルが長いことも、コスト削減に大きく寄与する。その実現に向けた取り組みの1つが、バッテリーにリチウムイオン電池を採用していることだ。従来、UPSのバッテリーとして利用されてきた鉛畜電池は、長寿命製品でも4〜5年のサイクルで交換が必要とされる。対して、リチウムイオン電池は、最大5,000サイクルの充電に耐え、寿命も約3倍となる10〜15年を維持できるためバッテリー交換の頻度を3分の1に抑制、そのためのコストや作業を削減可能だ。蔡氏は「ファーウェイのリチウムイオン電池は当社が提供するすべてのUPS製品と接続が可能であるほか、プロトコルを開示しているので他社製のUPSとも接続できます。このようなオープン化の取り組みにより、リチウムイオン電池を用いたバッテリーの普及に貢献していきたいと考えています」と強調する。

 これらの数々の先進的な機能が評価され、調査会社の2019年の報告でも、ファーウェイのモジュラー型UPSはグローバルで第1位のシェアを獲得している。蔡氏は「ファーウェイは長年、電源製品の側面からもデータセンターのデジタル化、グリーン化を支援してきました。今後もUPS製品に革新的な機能を実装し、さらなるイノベーションをもたらしていきたいと考えています」と力強くアピールした。

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華為技術日本株式会社

(ファーウェイ・ジャパン)

https://e.huawei.com/jp/products/network-energy/ups

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