クラウド&データセンター完全ガイド:特別企画
竹中工務店のモジュール型データセンターに採用された日東工業の技術力・製品力
2014年6月30日 00:00
データセンター
トータルソリューション
日東工業
竹中工務店が開発したモジュール型データセンターは、高いエネルギー効率と省スペース性が最大の利点だ。オフィスや倉庫をデータセンターに造り替える「コンバージョン」のニーズが高まるなか、どのような建物でもデータセンターを構築できる同モジュールの根幹となるのは、「AISLE CAPPING※」や「配線ラダーシステム」、「PDU(分電盤)」をはじめとした日東工業のソリューションである。
USER:竹中工務店http://www.takenaka.co.jp/
古い建物やオフィスビルをデータセンターに改築したい
竹中工務店は2013年11月5日、コンパクトなモジュール型データセンター「SEED BLOCK DC」を発表した。複数のサーバラックと空調やPDU(分電盤)、免震装置までを省スペースなモジュールに収め、そのモジュール単位で設置できるデータセンターである。
そもそも、ドーム型球場や高層ビルなどの建築物に携わってきた竹中工務店が、データセンター施設の一部の機能である同製品を市場に投入したのには、どのような意味があるのだろうか。
データセンター施設を造る手法には、1から新たに建設するほか、古いデータセンター建屋を改築する手法や、別の用途の建物をデータセンターに作り変える「コンバージョン」という手法がある。
事業継続のニーズやクラウドサービスの発展に伴い、国内のデータセンター建設市場は大きな伸びを見せている。特に都心では、土地が高価で狭いという条件もあってか、古い電算室やオフィス、倉庫などをデータセンターに改修したいというニーズが高いという。
モジュール型データセンターは、数ラック単位で設置できるため、段階的な投資が可能であるだけでなく、十分な広さや高さを確保できない建物や、古くて床荷重に制限がある建物をデータセンターとしてよみがえらせることができる。
「当社は、モジュール型データセンターの提供とともに、電源・通信・空調などの設備や、防犯・火災・地震への対策といったデータセンターにまつわるあらゆる計画・工事を総合的に支援していきたいと思っています」と、竹中工務店 情報エンジニアリング本部 データセンターエンジニアリングリーダー 政井竜太氏は語る。
省エネ性と省スペース性に貢献した日東工業のソリューション
竹中工務店のモジュール型データセンターの特長は、高いエネルギー効率を実現する「省エネ空調」を備えていることと、非常に「コンパクト」であることにある。これらに貢献しているのが、「AISLE CAPPING(アイルキャッピング)※」や「配線ラダーシステム」をはじめとした日東工業のデータセンターソリューションだ。
省エネ空調として施された工夫の1つは、AISLE CAPPING※でコールドアイルとホットアイル全体を覆い、空調範囲を狭めたことにある。一般的なサーバルームの場合、巨大な空調機で部屋全体の空調を整える必要がある。同モジュールでは、2列に並べたラックをAISLE CAPPING※で覆うことでコールドアイルとホットアイルの双方を密閉し、空調効率を格段に向上させることに成功した。
「日東工業が提供しているAISLE CAPPING※は、このモジュール型データセンターのコンセプトにぴったり当てはまりました。実績もあり、信頼性が高く、シンプルにモジュール全体を密閉することができます。私たちが目指した高効率な省エネ空調を実現するにあたっては、日東工業の技術的なサポートにも、大いに助けられました」(政井氏)
このほかにも、ラック型の空調機や気流を制御する風向板、ラックの空いた部分を閉じて冷却効率を向上させる「ブランクパネル」など、多くの工夫が施された。
この結果、同モジュールのpPUE(Partial PUE)値は1.2以下(一般のサーバルームはpPUE=1.5程度)という高い省エネ性能を達成し、ランニングコストを従来の20%程度削減できるようになった。
コンパクトという点では、従来は必要だった2つの“施設”が不要となった。
1つは空調機械室だ。巨大な空調機を使用する場合、気温や騒音の問題から、別の部屋を設ける必要があった。このモジュールにはラック型の静音な空調機が装備されており、床面積は20%程度削減することが可能だという。
もう1つ不要なのは、二重床である。従来の空調設備は、床下のコールドアイルから冷風を吹き上げて、サーバから排熱された空気の対流によって、ラックの背面にホットアイルが形成されるというものだ。この方式の場合、5mの階高が必要となるため、一般のオフィスをコンバージョンするのは難しい。同モジュールは、AISLE CAPPING※による水平旋回気流の空調を採用したほか、新たに開発した厚さ10cmの高性能な免震システムによって、必要な階高を4m程度に抑えている。
これに加えて、日東工業の「配線ラダーシステム」を活用することにより、従来は床下に配線するところをラックの上部に配線することが可能となる。したがって、フリーアクセスフロアでない古い建物であっても、天井からの配線が可能となり利便性を損ねることがない。
竹中工務店の開発に貢献する日東工業の技術サポート
政井氏がモジュール型データセンターを開発した背景には、海外の巨大なサービスベンダーの存在があるという。彼らは、サーバから建物まで最も効率のよい設計を考えだして、自ら構築している。日本では、そこまで実践できる企業はまだ少ないが、「私個人の思いですが、データセンター施設のさまざまな要素を最適化して、サーバすら1~2種類しかない状態にするなど、究極の効率化を目指すユーザーが出てくることを願っています。そのときに備えて、当社でラックまで提供できることが必要だと考えたのです」(政井氏)
こうしたモジュール型データセンターの開発のなかで、モジュール全体の密閉をどのように実現するかと悩んだ結果、ベストの答えを出したのが日東工業だった。同社のAISLE CAPPING※を応用したほうが、コスト的にも性能的にもよいと考えたのだ。
政井氏のコンセプトに共感した日東工業は、竹中工務店の検証用にモジュール向けのAISLE CAPPING※、システムラック、模擬サーバなどを提案した。これらは、日東工業によって実際のデータセンターフロアを模した試験装置で検証された製品のため、政井氏らも安心して利用することができたという。
「日東工業の製品は実績が業界トップレベルで、作りもしっかりしていますから、開発をスムーズに進められました。今後もご協力いただき、改良版の提供も進めたいと思っています」(政井氏)
※「AISLE CAPPING(アイルキャッピング)」は、株式会社NTTファシリティーズと日東工業株式会社による共同開発品です。
※「AISLE CAPPING(アイルキャッピング)」は、株式会社NTTファシリティーズの特許発明が含まれています。
※「AISLE CAPPING(アイルキャッピング)」は、株式会社NTTファシリティーズの登録商標です。
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