事例紹介
シンプルな情報共有で「救急医療」が変わる!――横須賀市で実用化された仕組み
ICT街づくり推進事業(2)
(2015/1/21 06:00)
総務省では平成24年度から「ICT街づくり推進事業」に取り組んでいる。雇用、高齢化、医療、防災・減災、コミュニティ問題など地域が抱える複合的な課題を解決するため、ICTを活用した新たな街づくりについて検証する実証プロジェクト。公募した自治体や事業者に委託し、全国各地で実証実験が進められている。未来の街はどうあるべきか、そんな「ICT街づくり」の最前線を追う。
今回は、神奈川県横須賀市における「オープンデータ、ユビキタス技術を活用した市民防災情報流通モデル事業」。主に災害時の救急医療を効率化する取り組みだ。
災害に頑強な街へ
神奈川県の三浦半島に位置し、国際港湾都市として東京湾と相模湾に面する横須賀市。東京湾岸には工場や住宅、相模湾側には農地が広がり、近代日本の進む道を大きく変えたペリー来航の地となった。軍事基地も多く、国防の主要拠点でもある。それに関連したまち興しとして、海軍カレーやネイビーバーガーといった名物も有名だ。
そんな横須賀市での実証実験は、ITによる徹底した情報共有で「救急医療」を効率化するものだ。基本計画(2011年~2012年)における重点プログラムとして「災害情報通信インフラ整備」を掲げ、災害時に現場・消防局・病院・市民が連携できるようにシステム化を進めることで、災害に頑強な街づくりを推進している。実証の結果、すでに病院と消防局(救急車)で実用化された仕組みも。
推進役は、ユビキタス技術を追求する「TRONプロジェクト」提唱者・坂村健氏が所長を務める、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所(以下、YRP UNL)。実証実験は主に以下の3点だ。その内容や効果について、YRP UNL ユビキタスシステム研究部長の小林真輔氏に話を聞いた。
取り組み | 内容 |
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ユビキタス救急医療システム | 救急車にカメラを設置し、患者情報をリアルタイムに病院と共有 |
RFIDトリアージ支援システム | 紙のトリアージタッグを電子化し、災害時の患者の容態を即座に共有 |
災害情報共有システム | 街中に防災情報ステーションを設置し、市民に災害情報を提供 |