特別企画

「オンラインストレージをベースにスマートデバイスのビジネス活用を後押しするDirectCloud」

ジランソフトが進めるクラウド戦略

 複数の人やマシンの間でファイルを共有する手段として、Dropboxをはじめとするオンラインストレージが大いに普及している。最近では特に、セキュリティや管理などの機能を充実させた、企業向けのオンラインストレージのサービスも増えてきた。

 ファイルをUSBメモリなどで受け渡していると、手間や時間の無駄が多いし、情報漏えいの原因ともなりうる。近年では個人情報保護や社内統制が求められ、2016年にはマイナンバー制度がスタートするなど、企業内の情報の厳しい管理が必要となってきている。

 そのため企業向けのオンラインストレージでは、企業内のユーザーを企業が管理する機能や、ユーザーやグループごとのアクセス権限の管理、ログ確認などの機能が備わっている。

 株式会社ジランソフト・ジャパンによる「DirectCloud-BOX」も、そうした企業向けのオンラインストレージサービスの1つだ。さらに、DirectCloud-BOXを中心に、データの活用やコミュニケーションのためのオプションサービスを豊富にそろえてもいる。

 5月の展示会イベント「クラウドEXPO」で展示されていた新機能もまじえ、ここではDirectCloud-BOXの特徴を見てみよう。

クラウドEXPOのジランソフト・ジャパンのブース

ユーザー管理など企業向け機能を備え、ユーザー数無制限で月額10,000円から

 DirectCloud-BOXは、どのプランでも、1つの会社アカウントで作れるユーザー数は無制限だ。ストレージ容量100GBの「Basic」なら月額1万円で利用できる。初期費用は不要だ。そのほか、ストレージ容量5GBでサポートなしの「Free」プランや、オプションサービスも使える30日無料トライアルもある。

 クライアントソフトは、Windows版、Mac版、iOS版、Android版が用意されている。いずれもソフトは無償。

 企業向けのオンラインストレージサービスにあって個人向けのサービスにはないのが、管理機能だ。DirectCloud-BOXでも、企業の管理者がWeb上の管理画面から、ユーザーやデバイスなどの利用状況を一目で把握できる。

 アクセスは、ユーザー、デバイス、アクセス元などで制限をかけられるため、十分なセキュリティを確保可能だ。例えば、許可したデバイスからのみアクセスさせるホワイトリスト方式のデバイス認証が利用でき、パスワードポリシーを設定して、弱いパスワードを禁止したりパスワードに期限をつけたり、といったこともできる。

管理画面で、ユーザーやデバイス、アクセス元などを把握できる
ユーザーのログイン履歴を確認する
ユーザーの管理。アカウントのロックなどもできる
ユーザーのパスワードポリシーの設定。弱いパスワードの禁止などができる
許可したデバイスからだけアクセスできるよう設定したり、私物のデバイスからのアクセスを拒否したりできる
アクセス元のIPアドレスを制限することもできる

 ユーザーは共有のフォルダにアクセスできるほか、自分専用の「マイボックス」が持て、簡単に使えるように工夫されているという。また、会社で動いている自分のPCのファイルに外からアクセスできる「リモート接続」の機能も特徴的だ。

 もちろん、他のユーザーを招待してデータを共有する機能もある。簡易チャット機能や履歴管理機能もあり、互いの作業を確認しながらコラボレーションできるほか、DirectCloud-BOX上のファイルを指定して外部の人が見られるようにするリンク共有の機能も備えている。

 一方、スマートフォン用クライアントでは、紛失時の情報漏えいを避けるため、ファイルをローカルに残さない形で開けるようにする、専用ビューア機能もサポートする予定だ。

共有フォルダにアクセス。Dropboxなどのような同期型ではない
自分専用のマイボックスの機能。ここで指定したファイルを外部の人に見せるリンク共有の機能もある
自分のPCに外からアクセスできる「リモート接続」
スマートフォン用クライアント。紛失時の情報漏えいを防ぐため、ファイルをローカルに残さずに表示できる専用ビューア

 なお、プラットフォームとしてはAWS(Amazon Web Services)の東京リージョンを利用し、ユーザーのデータは日本国内に置かれる。サーバーが二重化されているほか、S3(データストレージ)やRDS(データベース)に置かれるデータは、物理的に分散されたストレージに保存されるという。

 データはウイルスチェックのうえAES256で暗号化されて保存され、通信もSSLで暗号化される。前述のようなアクセス時の対策とあわせ、可用性やセキュリティには、かなりの注意が払われているといえるだろう。

オンラインストレージを中心に多彩なオプションサービスを展開

 このオンラインストレージを中心に、さまざまなオプションサービスが展開されているのもDirectCloud-BOXの特徴だ。

 例えば、「DirectCloud-PRINT」は、DirectCloud-BOXに保存された文書を、PCやスマートフォンからプリントするものだ。また、「DirectCloud-VIEW」では、DirectCloud-BOX上の文書をもとに、プレゼンテーションしたり、聴衆と文書を共有したりできる。

 クラウドEXPOでは、新サービスとして「DirectCloud-GATE」(6月提供開始予定)や「DirectCloud-BACKUP」(10月提供開始予定)、「DirectCloud-NOTE」(6月提供開始予定)が展示された。GATEは、企業にゲートウェイとなる機器を設置することで、社内のファイルサーバーを安全にDirectCloud-BOXのオンラインストレージの中として見せられるというものだ。またBACKUPは、社内のファイルサーバーをDirectCloud-BOXにバックアップするというもの。NOTEでは、手書きメモをDirectCloud-BOXに保存して管理できるようにする。

 それ以外に、ほかの種類のサービスとファイル共有を組みあわせたようなオプションサービスもある。「DirectCloud-VIDEOOFFICE」(6月提供開始予定)は、クラウド型のビデオ会議システムだ。最大64名が同時に参加でき、参加者を並べたり特定のカメラだけを表示したりと、さまざまな表示モードが選べる。ここで、DirectCloud-BOXの文書や動画、Webサイトなどを参加者で共有する機能により、ビデオ会議中のコラボレーションを図れる。

 また、「DirectCloud-TALK」(7月提供開始予定)は、LINEなどのようなメッセンジャーの企業用だ。DirectCloud-BOXのアカウントで利用するため、社内のユーザーとだけつながり、メールなどとは違って、社外への誤送信がない。操作ログも確認できるし、ファイル共有にも対応する。社内コミュニケーションには、うってつけだ。

クラウド型のビデオ会議システム「DirectCloud-VIDEOOFFICE」
ビデオ会議中に文書を共有してコメントを入れたりできる
メッセンジャーの「DirectCloud-TALK」。DirectCloud-BOXのアカウントで利用するため、社内のユーザーとだけつながる

 ジランソフト・ジャパン 取締役の安貞善氏によると、現在約500社の実績があるという。「以前は安全なファイル転送の手段としてあるいはデータ資産をクラウド環境へバックアップしたいとの要望が多かったが、現在ではスマートデバイス対応と情報漏えい対策のニーズが増えてきて、スマートデバイスからの情報漏洩を防ぐため、デバイスに文書情報を残さずにオンライン上で閲覧したり編集したりできる機能開発に拍車をかけている」という。

 企業向けオンラインストレージとして必要なユーザー管理やデバイス認証管理、ログ確認などのセキュリティ機能を備えているほか、ファイル共有を核としてデータ活用やコラボレーションを実現するさまざまなサービスにつなげている。そうしたデータとサービスの横展開がユニークであり、初期費用なしの月額1万円からで、ユーザー数無制限で使えるという価格も競争力のあるサービスだといえるだろう。

ジランソフト・ジャパン 取締役 安貞善氏

高橋 正和