特別企画

ノートPCのテクノロジーを使った超小型デスクトップ「HP EliteDesk 800 G1 DM/CT」

 日本の多くの企業では、デスクの狭さなどや持ち運びができるということで、ノートPCが利用されている。しかし、仕事の効率性などを考えると、見やすい大画面のディスプレイ、打ちやすいキーボード、操作しやすいマウスなど、デスクトップPCの方が使いやすい。ノートPCに大画面の液晶ディスプレイ、キーボード、マウスを接続しても、同じことができるが、パフォーマンスやトータルコストを考えるとコンパクトなデスクトップPCの方が有利だ。

 最近では、2-in-1 PC、タブレットなどを持ち歩くことが増えているため、会社のデスクではデスクトップを使い、モバイルではタブレットを使うというスタイルになっていくのだろう。

 今回、日本HPからお借りした企業向けPC「HP EliteDesk 800 G1 DM/CT」(以下、EliteDesk 800 G1 DM)は、たばこの箱2つほどの大きさと容積でありながら、デスクトップPCに必要な機能をすべて持ったコンパクトデスクトップPCだ。

 今までコンパクトといわれていたデスクトップPCに比べても1/12の容量になっているため、液晶ディスプレイの後ろに置いたり、デスクの上にある電話の横に置いたりしても邪魔にならないサイズといえる。

EliteDesk 800 G1 DMは、横置きだけでなく、縦置きでも使えるようにスタンドが用意されている。価格はモデルにより異なるが、最小構成で5万円くらい
ライターと比べるとEliteDesk 800 G1 DMのコンパクトさがよくわかる
EliteDesk 800 G1 DMは、今までのPCに比べると非常にコンパクトにできている(日本HPのWebサイトより)

超小型だがしっかり使える

 コンパクトなデスクトップPCとしては、Intelが提唱しているNUC(Next Unit of Computing)が代表的だが、NUCはベアボーンPCとして提供されており、メモリやディスクなどが搭載された完成品PCとしては提供されていない(ACアダプタも付属しない)。

 Intel NUCをベースに、メモリやディスク、付属品、OSなどを付属した完成品として販売しているショップもあるが、企業では採用しにくい。やはり、大手のPCベンダーが提供するコンパクトPCが待ち望まれていた。日本HPのEliteDesk 800 G1 DMは、このようなニーズにマッチしたといえる。

 コンパクトであっても、性能的には今までのデスクトップPCに引けをとらない。CPUには、2014年後半にリリースされたHaswellが使用されている。またCPUラインアップも、CeleronからCore i3、Core i5、Core i7まで幅広く用意されている。

 メモリは、ノートPCに使われているSO-DIMMモジュールが2枚搭載できるようになっている。8GBモジュールを2枚搭載すれば、16GBのデスクトップPCとなる。

 ディスクは3.5型HDDが1台搭載できるため、十分なディスク容量を用意可能だ。もし、社内のファイルサーバーと連携するなら、EliteDesk 800 G1 DM側に、OSや簡単なアプリケーションだけをインストールしたSSDを使うことで、パフォーマンスを劇的にアップすることもできるだろう。なお、日本HPがオプションで用意しているSSDは、ストレージ側で暗号化/復号化機能をサポートしている。もし、PCが盗難にあっても、データを容易に盗まれることはない。

EliteDesk 800 G1 DMのふたを開けた状態。HDDの横には、CPUモジュールが入っている。CPUヒートシンクに面積の大きいプレートを付けることで、放熱しやすい設計になっている

 さらに便利なのは、vPro対応のチップセットが採用されているため、Core i5/i7などを採用しているEliteDesk 800 G1 DMでは、IT管理者がEliteDesk 800 G1 DMのリモート管理を行うことができる。例えば、BIOS設定などもリモートから行えるし、OSのアップデートなども、夜間にクライアントPCを自動起動して実行する、といったこともできる。ユーザーが朝、デスクについて、PCを起動すれば自動的にOSのアップデートが済んでいるのだから、利便性が向上する。

 グラフィックに関しては、第4世代のHaswellプロセッサに内蔵されているIntel HD Graphicsを利用するため、オフィスで利用するには十分なパフォーマンスを持っている。確かに、ワークステーションなどに使用されている外付けグラフィックカードほどの性能は持っていないが、ブラウザや表計算ソフト、プレゼンテーションソフトを利用する上では十分な性能がある。

 ディスプレイインターフェイスも、デジタルのDisplay Portが2つ、アナログのVGAポートが1つ用意されている。Display PortとVGAポートを利用すれば、最大3枚のマルチディスプレイ環境を、ビデオカードなどを追加することなしに、構築することが可能だ。

 ネットワークは本体にGigabit Ethernetの有線ネットワークポートが1基用意されているし、オプションで、IEEE 802.11a/b/g/n対応の無線LANモジュールを本体内部に増設できる。

 USBポートは、3.0ポートが背面に4ポート、前面に2ポートが用意されている。便利なのは、オーディオポート(マイク、ヘッドフォン)が前面に用意されていること。VoIPなどやIMを使ったコミュニケーションシステムを、企業内でも利用しやすくなるだろう。

本体の前面には、USB3.0ポートが2ポート、マイク、ヘッドフォン端子がある。非常に薄いことがよくわかる
EliteDesk 800 G1 DMの背面。USBポートが4ポート、DisplayPortが2ポート、VGAポート、オーディオポート、有線LANポート、電源ポートがある

 これだけの機能を持ちながら、HDD搭載のEliteDesk 800 G1 DMでは、通常の消費電力が約10W、SSDを使用したモデルでは7.5Wと、非常に低消費電力になっている。これなら、多くの台数を運用する企業にとって、省エネに寄与するだろう。

EliteDesk 800 G1 DMはコンパクトなだけでなく、消費電力もノートPC並みに低くなっている(日本HPのWebサイトより)
HeavyloadというPCに負荷をかけるソフトを使って、消費電力をチェックした
最も負荷がかかった状態では、最大47Wにまで上がる。通常使用時は、17Wあたりとなる

(山本 雅史)