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「多様な通信・放送手段を連携させた多層的な災害情報伝達システムの研究開発」フィールド実証実験を開始

2012年11月9日
株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(代表取締役社長:岩本 敏男 本社:東京都江東区)は、株式会社NTTドコモ(代表取締役社長:加藤 薫 本社:東京都千代田区)、マスプロ電工株式会社(代表取締役社長:端山 佳誠 本社:愛知県日進市)、国立大学法人東北大学(電気通信研究機構長:中沢 正隆 本部:宮城県仙台市)、日東紡音響エンジニアリング株式会社(代表取締役社長:静永 秀宏 本社:東京都墨田区)と共同で、総務省が委託する「多様な通信・放送手段を連携させた多層的な災害情報伝達システムの研究開発」のフィールド実証実験を実施します。

本研究開発は、東日本大震災において浮き彫りとなった住民への災害情報伝達の課題を解決するため、緊急速報メールやワンセグ等の多様な通信・放送手段を連携し、住民へ確実かつ迅速に災害情報を伝える仕組みを実現すべく取り組んでいるものです。
このたび、システムの技術確立および実用化を目指し、2012年11月より石巻市、気仙沼市他にて、フィールド実証実験を開始します。

■背景

東日本大震災による被害は広範囲に及んでおり、防災行政無線をはじめとする地域の災害情報を伝達するシステムについても、地震そのものによる被害のほか津波による浸水や流出等により、設備等の機能停止や倒壊など多大な被害が生じ、災害情報が住民に確実に伝わらなかった問題が指摘されました。一方、今回の大震災においては携帯電話やラジオ、ワンセグ端末等が、住民が情報を得る手段として有効活用されたとの調査結果が出ています。

本研究開発は、住民の安心安全確保のため、緊急速報メール、ワンセグ等の多様な通信・放送手段の組み合わせにより、住民への情報伝達ルートを多層化し、災害時の避難情報や警報等を確実かつ迅速に伝える災害情報伝達システムの実現を目指すものです。
このたび、システムの技術確立および実用化を目指し、各研究機関の研究成果を組み合わせた総合的なフィールド実証実験を、2012年11月より石巻市を皮切りに気仙沼市他にて行うこととなりました。

■フィールド実証実験概要

フィールド実証実験では、津波警報や避難勧告等、実際の災害シナリオに沿って、携帯電話、スマートフォン、パソコン、カーナビ、屋外スピーカー、火災警報器等の複数種類の受信端末に一斉に災害情報を配信します。実際のフィールドでの稼働検証および効果検証により、今後の実用化を図る上で重要となるシステム機能および技術の妥当性、有用性の確認、社会への受容性などの評価を行います。

■研究開発概要

総務省が委託する情報通信ネットワークの耐災害性強化のための研究開発の一環として、NTTデータを代表研究機関にNTTドコモ、マスプロ電工、東北大学、日東紡音響エンジニアリングの5者共同で、被災地自治体である仙台市、石巻市、気仙沼市、東松島市の協力を得ながら進めています。
住民に対して確実かつ迅速に災害情報の伝達を可能とすることを目的に、自治体の情報入力負担を軽減し、多様な手段で住民に情報を確実に伝えることを可能とする災害情報伝達システムの構築を目指した取り組みです。

1.ワンソースマルチユース
1度の入力で多様な配信先メディアへの情報配信が行えるため、自治体職員の情報入力にかかる時間が短縮されます。

2.配信手段の冗長化
多様なメディアに情報配信することにより、住民に対して複数の情報取得手段を提供出来ます。

3.マルチメディアコンテンツ
映像・画像や音声を用いた災害情報を配信することで、詳細に状況を伝達することが可能となります。これにより、多くの住民に対しわかりやすい情報を提供することが可能となります。

4.安全と信頼
情報入力の迅速化により、自治体職員はより早く避難することが可能となります。また、リモートアクセス機能を利用することで、避難場所等から、自身の安全を確保した上で住民への情報発信が可能となります。

■各研究機関の担当および研究概要について

・NTTデータ(代表研究機関)「マルチメディアプラットフォームに関する研究」
多様な配信メディアへの一元的な災害情報配信のため、配信コンテンツ生成の自動化、配信制御技術等を開発・検証し、耐災害性や利便性を備えた「マルチメディアプラットフォーム」の構築を行う。

・NTTドコモ「多様な通信手段を連携させた災害情報伝達システムの実現の研究開発」
自治体が緊急速報メールを作成する際の迅速かつ正確に配信するための技術として、配信コンテンツ作成支援、複数の携帯電話事業者の緊急速報メールサーバーとの入出力インターフェース、当該システムの堅牢性について研究開発を行う。

・マスプロ電工「耐災害性の強い放送系技術を用いた防災システムの研究開発」
緊急性の高い災害情報をさまざまなメディアから重層的に提供する方法のうち、エリア放送や地上デジタル放送系技術を利用して、防災行政無線の補完や、きめ細かな災害情報伝達システムの研究開発・検証に取り組む。

・東北大学「災害情報の屋外音声伝達性能の向上に関する技術開発」
災害情報を市民に伝える上で音声(音)の役割は重要である。そこで、今次震災時に問題となった、複数スピーカーからの音声が重なった場合に音声が聞き取りにくくなる問題の要因を調べ、それを解決して屋外において音声による災害情報をより的確に伝えるための技術を開発する。

・日東紡音響エンジニアリング「災害情報の長距離屋外音声伝達性能の測定方法と評価に関する技術開発」
音声による災害情報伝達を的確に行うことが出来るシステムの構築を目指し、屋外における音声伝達性能の測定方法と計算機シミュレーションによるスピーカーの最適配置手法についての基盤技術開発を行う。

■今後の展開

研究開発およびフィールド実証実験を通し、多様な通信・放送手段を連携させた災害情報伝達システムが具備すべき機能の技術確立を図り、システムの早期実用化を目指していきます。

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2012/11/9 15:43