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富士通と日本海事協会、船舶ビッグデータプラットフォームを構築

船舶データや気象情報を収集し、海事事業者のデータ活用を支援

 富士通株式会社は6日、一般財団法人日本海事協会の船舶ビッグデータプラットフォームを構築したと発表した。同システムは、日本海事協会の子会社として2015年12月に設立された、株式会社シップデータセンターのデータセンターサービスとして運用されるとのことで、システムは4月より稼働を開始している。

 今回、富士通と日本海事協会が構築したのは、運航中の船舶から得られる機器の稼働データや気象情報をビッグデータとして収集・蓄積し、船舶運航や造船などにかかわる海事事業者が、航海中の船舶データを必要な時に抽出できるようにするプラットフォーム。個船より送信されるVDRなどの航海系情報、機関エンジンや各種船舶搭載機器の運転・計器情報(マシナリーデータ)に加え、全球の気象情報を収集・蓄積する。

 海事事業者が船舶のデータを活用するには、従来、個々に必要なデータを収集し統一データとして結合する必要があった。しかし、シップデータセンターが各種データを一括収集し、各事業者に特化したデータフォーマットを生成してWeb APIで提供することにより、一から仕組みを準備することなく、すぐにビッグデータ活用を行えるようになるとのこと。

 こうした仕組みをデータセンターサービスとして提供することにより、例えば運航オペレーターは、エンジンの稼働データを活用した故障予測や、航海データと気象データをもとにした省エネ運航などを実現できるという。

 また、さまざまな形式で収集される各種データは、CSV、JSONなど利用者が使いやすい形式に変換したうえで提供される点もメリット。さらに、船舶データはインターネットを経由し収集・蓄積・配信されるため、シップデータセンターがデータのウイルスチェックやユーザー認証などのセキュリティ機能を備えることで、セキュリティ面での対策を行っているとしている。

 なお富士通では、AIによるデータ解析技術の活用など、シップデータセンターの機能拡充を継続して実施する計画だ。

石井 一志