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富士通、メタウォーターのデータ活用基盤を構築 水道事業の最適管理に貢献

 富士通株式会社は11日、メタウォーター株式会社の上下水道事業者向け監視サービス「ウォータービジネスクラウド」の共通基盤として、データ活用基盤を構築したと発表した。

 「ウォータービジネスクラウド」は、上下水道事業者向けに、水処理施設に関する運営管理などのサービスを提供するクラウド基盤。上下水道事業の運営に役立つ広域監視や保守点検など、さまざまなクラウドサービスを提供しており、データがサービスごとのデータベースに蓄積されている。

 従来はサービス間で個別にインターフェイスを開発し、データの相互利用を行っていたが、サービスが拡充するに伴ってインターフェイスが複雑化し、データ活用が限定的になってしまっていた。しかし、複数機場や過去の発生事象との比較などを柔軟に行うためにも、サービス間を横断的に連携できる仕組みや、リアルタイムデータの活用を可能にしていく必要があったとのこと。

 そこで富士通では、各サービスのデータを横ぐしで検索できる仮想データベースと、テキスト・画像・音声などの多様なデータを蓄積・検索できるNoSQL型データベースを構築。両者を組み合わせたハイブリッドなデータベースであるデータ活用基盤により、複数のサービスをまたがるリアルタイムなデータ活用や、幅広い分析を実現できるようにした。

 サービスごとに蓄積されたデータの所在を意識することなく、データを一元的に活用できるため、メタウォーターでは提供サービスの質を向上可能。上下水道事業者は、例えば水質に異常事態が起こった際などに、複数機場をまたいだ原因の検索や、過去の事例からの対処ノウハウ参照などを、同時に実現できるとしている。

 あわせて、複数の自治体・企業が所有する水処理施設の運営管理に必要なデータや技術を、今回構築したデータ活用基盤と連携すれば、現場の技術継承、設備投資の最適化、管理の効率化などが図れるとのこと。

 なお今後は、サービスごとに、同じモノでもパイプや管といった異なる名称で表現している場合、論理的な意味付けをすることで、データ同士の関係性からそれらを結合できるようにする。これにより、それぞれ個別の名称を使いがちな複数機場や上下水道施設においても、データ活用をより活性化できるとした。さらには、異常や不具合の事象を分析して機器メーカーにフィードバックすることにより、水処理の品質向上を目指す考えだ。

ウォータービジネスクラウドのデータ活用基盤システム概要

石井 一志