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「2016年度の事業戦略はデータ管理ビジネスの充実」、ネットアップ岩上社長が説明
(2015/7/1 06:00)
ネットアップ株式会社は6月30日、2015年5月にスタートした2016年度の事業戦略を発表した。
代表取締役社長である岩上純一氏は、「ビジョンについてはあまり変えることなく、ストレージベンダーとしての成長ではなく、お客さまの成功を支えるTrusted Adviserになることを引き続き目指す。戦略としてはクラウド時代のオールラウンダーとして、お客さまの次世代エンタープライズアーキテクチャ実現のために注力する。お客さまに、データ管理といえばネットアップといってもらえる企業を目指す」と、2016年度のビジョンと戦略を説明した。
具体的には国内組織を強化し、ハイブリッドクラウド推進に特化した部隊を13人体制で組織。データセンターアーキテクトを新設して6人体制で取り組むほか、営業SEも20%増員する。
オフィスは、2015年3月に現在の京橋トラストタワーに移転したが、増床してCustomer Briefing Centerを開設した。この施設にはすでに32社、90人が来社し、「お客さまは自社の検証センターのつもりで使ってくださいと申し上げている」と、顧客とのさらなる関係強化を進めていく。
IDCの調査ではストレージOSである「NetApp Data ONTAP」は、競合ストレージベンダーをおさえ、オープンネットワークストレージOSとしてナンバー1となったという。これまでの業績について岩上社長は、「過去3事業年度の国内売り上げ成長は2.1倍となったほか、Gartnerによる国内ストレージベンダー評価ではリーダーに位置づけられている。働きがいのある会社ランキングについても、5年連続でベスト10にランクインすることができた」と、これまでの実績を説明した。
また、ニーズが高まっているフラッシュストレージ市場では、ワールドワイドにおいて、180PBのフラッシュ、7万5000のハイブリッドアレイ、4000のオールフラッシュアレイを販売し、2014年前半のオールフラッシュとハイブリッドの合計販売数ランキングでは2位を獲得したとしている。
2016年度も好調のうちにスタート、“データ中心”のアプローチへ
すでにスタートしている2016年度第一四半期についても、「昨年同期比では、米ドルベースで14.5%増と、モーメンタムが強い状況が続いている」と絶好調であると説明。
次世代エンタープライズアーキテクチャとして「Cloud Enable」から「Cloud Native」をアピールしており、「クラウドに対しては検討ではなく、官公庁以外は金融機関も含めて、利用前提で話が進んでいる。従来の、クラウドに一部データを置くといった使い方にとどまらず、基幹系の一部をクラウドに載せるところも増えてきた」との現状に触れた。
また、「自動車メーカーが、インフラが先進国とは全く異なる、新興国での衝突解析シミュレーションを行うために、コンピュート、ストレージを自社で持つのは現実的ではない。そこで、クラウドを使って行うといった新しいニーズが出てきた」と、顧客のクラウド活用が大きく変化していると指摘。
「当社は、最初からソフトウェアディファインド(Software Defined)型で提供してきた。こうした顧客の変化に対し、オンプレミスからパブリッククラウドに移行しようが、(AWSやAzureのような)ハイパースケーラーに移ろうが、すべてデータを管理下に置いてデータ管理を行う製品群を持っている」と述べ、ストレージ中心ではなく、顧客のデータ中心にソリューションを提供していく方針を強調した。
ストレージベンダーであるネットアップが、ハードウェアとしてのストレージよりもデータの重要性をアピールする背景としては、「米国では出荷の6割のストレージがホワイトボックスに移行しつつある。日本はそれよりもずいぶん遅れているが、2割がホワイトボックスになっている。メーカーブランド製品に比べ、ホワイトボックスは価格が安く、ユーザーが飛びつくのも無理はない状況にある」という環境変化がある。
こうしたことを踏まえ、岩上社長は「極端なことをいえは5年後には、当社はディスク製品を売っていない可能性もある。私自身のミッションも、ポートフォリオセリングがメインとなっており、新しいインフラへの移行にあたり、何ができるのをきちんと説明するために地道に取り組んできた。過去5年間で、100%パートナー経由の販売からハイタッチ営業を取り入れたのもその一環。当社以外のストレージ製品を利用している場合でも、お客さまのデータ活用支援を行う」とした。
具体的には、クラウド時代のオールラウンダーを標榜し、フラッシュ製品だけといった特定製品だけにこだわらず、ビジネスを行う考え。クラウド連携ソリューションの拡充はもちろん、顧客に既存の利用ストレージがある場合は、それを取り込んだデータ管理の提案を行うことで、システムコスト削減につなげる。タイム・トゥ・マーケット短縮、柔軟性と堅牢性の両立、オープンなプラットフォーム推進、高水準なシステム管理の提供なども行っていく。
「どうお客さまの事業に貢献できるのかこそ重要。データ管理といったらネットアップ、と言われるような企業を目指していく」(岩上社長)。