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土木建設現場のスマート化に挑むコマツ、リモート新技術で支援するオプティム

 株式会社オプティムは18日、IoT/ウェアラブル時代のリモートテクノロジー戦略として「Remote Experience Sharing」を発表した。

 「あらゆる人にそのとき必要な体験(知識・ノウハウ・情報)を遠隔から共有する環境を全産業向けに提供し、ユーザーは本来のやりたいことだけに集中でき、その手段に関する専門知識を必要とせず技術進化による恩恵を最大限享受できる世界」をめざすという。その実現にむけて、新たに4サービスを一挙に発表した。

 具体的には、「Visual Remote Support Serviceの開始」「Collaboration Serviceの強化」「IoT/Warableとの融合」「Optimal One Platformのオープン化」を開始する。

Remote Experience Sharing

 背景にあるのは、少子高齢化に伴う「労働人口の減少」や、産業の高度化に伴う「専門性の高い人材の不足」。さらに「IoT/ウェアラブルデバイスなどの登場は生活や作業が便利になる一方で、本来やりたいこととは異なる、新たな「知識」や「操作方法」を覚える必要に迫られていることだ」と、オプティム 代表取締役社長の菅谷俊二氏は述べている。

コマツの描く施工現場の未来

 「Visual Remote Support Serviceの開始」では、リモートマネジメント製品「Optimal Remote」において、スマートデバイスのカメラで撮影した映像を共有できる「Optimal Second Sight」を提供する。

コマツが採用

 遠隔地にいるオペレーターはユーザーの目の前の状況をリアルタイムで確認できるため、きめ細かいサポートが可能となる。カメラ映像の共有のほか、オペレーターから資料を送信する「資料・URL送信機能」、オペレーターからスマートデバイスをどのように移動しどこを映してほしいかを指示できる「移動指示機能」や「赤ペン機能」「指さし機能」「VoIPによる音声通話」といった機能を搭載する。

 コマツでの採用も発表された。コマツは現在、施工現場のICT化を推進し、効率的かつ安全・スマートな土木建設現場を創造する「スマートコンストラクション」という取り組みを始めている。コマツといえば建機だが、従来のように施工だけの建機ではなく、現場の前工程や後工程も支援しようと考え、スマートデバイスやクラウドを活用した新たな管理法を提案しているのだ。

 現在、建設業界では震災復興、五輪などにより投資が上向きつつある一方、建設業での労働者不足が深刻になっているという。スマートコントラクションはこうした課題に、経験の浅い作業者も豊富な情報提供・支援により現場作業を可能にするものとなる。そこにOptimal Second Sightを導入することで、たとえば建機を操作するための電子操作パネルに不慣れな作業員を遠隔からサポートし、円滑に現場作業を進められるように支援したり、建機のメンテナンス作業員が現場に向かう前にライブ映像を通じて建機の情報を入手し、必要な部品を前もって準備しておいたり、さまざまな効率化が図られるという。

スマートコントラクション
UAV(ドローン)による現況測量
Optimal Second Sightによるサポート例

 将来的には現場作業員がスマートグラスなどのウェアラブルデバイスを装着する構想も描いており、たとえばショベルカーで地面を掘る際、どこをどれだけ掘ればいいかといった情報を目前のディスプレイに表示するなど、革新的な用途が検討されている。

コマツのめざす「スマートコントラクション」概要
施工現場のICT化を推進
施工する範囲や土量を自動で計算。ドローン活用も視野に
施工計画シミュレーション
施工進捗をリアルタイムに把握
スマートグラスを装着した作業者には範囲や土量が表示される

リモートサポート技術のさまざまな発展

 「Collaboration Serviceの強化」では、スマホとスマホで体験を分かち合うサービス「Optia」をバージョンアップする。家族や友人同士でスマートフォンの使い方がわからない時などに、離れた場所にいるユーザー同士が同じ画面を共有できるもので、相手の画面を見て指示を出したり遠隔で操作したりすることが可能。新版では「通話との融合」「VoLTE対応」「キャリアフリー」「VoIP搭載」「Android全機種対応(Android 5.0 Lollipop以降)」「広告ありのフリー版」などが提供される。

Optia

 「IoT/Warableとの融合」では、テレパシージャパンと業務提携。ウェアラブルデバイスでリモートサポート技術を利用するための研究開発を共同で進めている。

 「Optimal One Platformのオープン化」では、「Communication SDK」を無料で公開する。同社では各サービスに共通する開発基盤「Optimal One Platform」の開発を進めている。MDMサービス「Optimal Biz」、リモートマネジメントサービス「Optimal Remote」、サポートサービス「Optimal Support」、タブレットアプリ「使い放題」を共通の基盤に乗せるもので、共通機能をプラットフォーム化しようという取り組み。

 その中核となるコンポーネントの1つが「Communication SDK」で、「画面共有」「指示」「チャット」「音声通信VoIP」「簡単接続」といったリモート技術が、サンプルコードをコピー&ペーストするだけでアプリに組み込めるようになる。

 ただし、無料となるのは、オプティムのサービスと接続させるための「スタンダードモデル」で、企業内専用アプリや閉じた空間で利用するための「企業モデル」はアプリの配布数に応じたライセンス費用がかかる。

Communication SDKの公開

川島 弘之