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リアルタイムな企業活動を支援するDB高速化製品「Oracle Database In-Memory」

Oracle DB 12c EEのオプション、アプリから透過的にインメモリDBを利用可能に

 「今後の企業経営にはリアルタイム性が重要になる。特にバッチやデータウェアハウス(DWH)で、いかにリアルタイムなところまでできるかが、今後の経営に大きく影響してくるのではないか」。日本オラクル株式会社は23日、Oracle Database 12cの処理性能を向上させるインメモリオプション「Oracle Database In-Memory」(以下、In-Memory)の提供開始を発表。同社の杉原博茂社長は、インメモリ技術による高速化によって、企業での意思決定を支援していくと述べた。

日本オラクルの杉原博茂社長
Oracle Database In-Memory

 「In-Memory」は、Oracle Database 12c Enterprise Editionのオプションとして提供される製品で、ロー(行)とカラム(列)型の処理を組み合わせた「デュアル・フォーマット・インメモリ・アーキテクチャ」を採用。分析やDWH、レポート生成におけるデータベース性能を向上させるのみならず、OLTP処理の高速化も図れる。

 米OracleのOracle Databaseプロダクト・マネジメント担当バイスプレジデント、ティム・シェトラー氏によれば、「In-Memory」ではインメモリカラムストアにより、すべてのカラムに対する高速アナリティクスが可能になるため、従来利用されていた分析用インデックスが不要になり、インデックス作成に要していた時間を別の作業に振り向けられるようになるとのこと。

米OracleのOracle Databaseプロダクト・マネジメント担当バイスプレジデント、ティム・シェトラー氏
ローとカラムの両方のフォーマットを扱えるようにした
分析用インデックスを不要に

 また複数のサーバーを利用したスケールアウトにより、規模を拡張していける点も特長。さらに、DRAM、フラッシュメモリ、ディスクといった各層にデータを分散配置できるので、本当に高速化したい部分だけを高価なメモリに入れ、コストを抑えながらも高速化の恩恵を受けられるとした。可用性についても、複数ノードにインメモリデータを複製する機能などを提供しており、1つのデータベースサーバーが落ちても運用を継続できる。

 また、これらの長所もさることながら、「In-Memory」最大の特徴は、アプリケーションからの完全な透過性を確保している点にあると、シェトラー氏はアピール。「他社のインメモリデータベース技術とは異なり、既存アプリケーションに対して完全な透過性を持って導入できる。アプリケーションのふるまいに影響を与えることなく、またOracle Database向けに設計されてきた機能にも変更なく、全世界30万社のOracle Databaseのお客さまは、『In-Memory』により簡単にインメモリデータベースを導入していただける」と、そのメリットを強調した。

さまざまなメディアを階層的に利用できる
既存アプリケーションとの互換性を確保

 この特徴は、迅速な製品展開にもつながる。日本オラクル 専務執行役員 データベース事業統括の三澤智光氏は、「Oracle Databaseをお使いのたくさんのお客さまは、データやアプリケーションを書き換えずにインメモリ化し、その恩恵を受けられる。つまり、すべての顧客が対象になるということだ。日本のお客さまでは、データベースでバッチ処理をやっているところが多く、このテクノロジーで大幅に性能が上がるのではないか」と述べ、市場の早い立ち上がりに期待を示した。

 もっとも、「In-Memory」はOracle Database 12cが前提になるため、旧バージョンを利用している多くのユーザーはバージョンアップが必要になるし、どのデータベースをインメモリ化するか、といった見極めにも技術は必要になる。そのため日本オラクルでは、パートナーやユーザーを含め、年内に1000名のインメモリ・データベースエキスパートを育成する考えで、こうしたエキスパートを通じて、アップグレードやインメモリデータベースへの移行支援を行っていく。また、ユーザーやISVなどに対して、無償のインメモリ・アセスメントサービスを実施し、インメモリデータベース化による価値を訴求するとした。

 「In-Memory」の参考価格は、1プロセッサあたり250万円(税別)から。

石井 一志