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NTT Com、20種の業務特化型AIエージェントを活用した業界別ソリューションを提供
事業拡大に向けてエクサウィザーズと協業
2025年6月20日 06:15
NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、株式会社エクサウィザーズとの資本業務提携を通じた取り組みの一つとして、業務に特化した20種のAIエージェントを活用した業界別ソリューションを、6月19日から提供開始した。同日に行われた説明会では、NTT ComとエクサウィザーズそれぞれのAIエージェントに関する取り組みを紹介するとともに、新たに提供する業界別ソリューションの概要について説明した。
NTT Comでは、AIエージェントの事業展開として、「CXソリューション」「EXソリューション」「CRX(事業継続性強化)ソリューション」の3つの領域でビジネスを推進している。CXソリューション領域では、昨年5月にコンタクトセンターや店頭向けの「オペレーター支援・デジタルヒューマン」を発表。また、CRXソリューション領域では、昨年11月にセキュリティ/IT運用をサポートする「AI Advisor」を発表している。そして今回、EXソリューション領域において、業務に特化した20種のAIエージェントを新たに開発した。
NTT Com ビジネスソリューション本部 スマートワールドビジネス部 部長 執行役員の福田亜希子氏は、「従来の生成AIは単なるツールでしかなかったが、AIエージェントは1人のビジネスパートナーとして、同僚のように働くことが可能になる。今回開発した20種のAIエージェントは、『情報検索』『データ分析』『文書作成』『業務自動化』『コミュニケーション』の5つのカテゴリに分類され、マルチエージェントでさまざまな業務を担うことができる。そして、これらの業務特化型AIエージェントを迅速かつ容易に導入できるよう、業界別のバーティカルソリューションとして提供していく」と説明した。
「AIエージェントを活用した業界別ソリューションの提供にあたり、さらなる事業拡大に向けて、エクサウィザーズと資本業務提携を締結した。当社の持つドメイン知識や顧客基盤などの事業アセットと、エクサウィザーズが持つデジタル・AI領域における技術力や事業開発力を組み合わせることで、AIエージェントの活用を加速させていく」と、エクサウィザーズとの協業展開に意欲を示した。
エクサウィザーズ 代表取締役社長CEOの春田真氏は、「当社は“AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する”ことをミッションに掲げ、2016年に設立。主な事業内容としては、AIプラットフォームを活用した個社の経営課題解決と、AIプロダクト/AIエージェントによる生産性向上を両輪で回すビジネスモデルを展開している。これによって、企業が自らAIエージェントを作り、従業員がそれを日々使いこなして生産性を上げていく世界の実現を目指している。今回のNTT Comとの資本業務提携では、当社の持つAIサービスプロダクトを、業界・業務種別ごとのニーズを踏まえてAIエージェント化し、当社のAIエージェントプラットフォーム『exaBase Studio』も活用しながら順次リリースしていく」との考えを述べた。
AIエージェントを活用した業界別ソリューションの概要については、NTT Com ビジネスソリューション本部 スマートワールドビジネス部 ジェネレーティブAIタスクフォース長の荒川大輝氏が説明。「新たに提供する業界別ソリューションでは、業務を理解した20種のAIエージェントに、業界・企業固有の知識やルールなどのデータを掛け合わせることで、業務プロセスに組み込んで活用できる生成AIを構築する。さらに、ベースとなるAIエージェントに各企業の業務仕様に合わせたカスタマイズを加えることで、コストや開発期間を最小限に抑えながら業務の即戦力として活用できるソリューションを提供していく」とした。
また、業界別ソリューションのユースケース例として、製造業界向け知財業務ソリューションと金融業界向けセールス業務ソリューションの2つを紹介した。製造業界向け知財業務ソリューションでは、業務ヒアリングエージェント、社内ナレッジサーチエージェント、外部情報リサーチエージェント、申請書作成エージェントを組み合わせ、「知財文書作成エージェント」を構築。これに、企業固有の知財アイデアデータや特許情報検索サイト、特許出願書類の知識を掛け合わせ、特許のアイデア整理から周辺情報調査、特許申請に必要な書類作成まで一連の業務をエージェントと人が協働しながら遂行していく。
金融業界向けセールス業務ソリューションでは、業務ヒアリングエージェント、セールスデータ分析エージェント、セールスデータ分析エージェント、提案資料作成エージェントを組み合わせて「提案業務支援エージェント」を構築。これに、 セールスデータや過去融資状況、財務情報、ヒアリング結果、過去提案資料を掛け合わせることで、直近の商談内容や顧客に関する情報、類似案件の情報などを収集・分析し、確度の高い提案方針を策定。方針をもとにした提案書作成まで人と協働しながら遂行していく。
今後の展開について荒川氏は、「現在の主なターゲットは、専門性が高い業務の多い金融・公共・製造業界に設定しているが、今後は全業界にターゲットを広げて展開していく。これにともない、AIエージェントについても現在の20種から、2026年には200種の提供を目指す」と、全業界を対象にソリューション事業を拡大していく方針を明らかにした。