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さくらインターネット、石狩2号棟にジュニパーの最上位スイッチ「EX9200」導入
(2014/7/23 15:19)
さくらインターネット株式会社が石狩データセンター2号棟のコアL3スイッチに、ジュニパーネットワークス株式会社(以下、ジュニパー)の「EX9200シリーズ」を採用した。
さくらインターネットは、北海道石狩にデータセンターを建設し、2011年に約500ラックを収容する1号棟をオープン。増え続けるクラウドサービスの需要により、1号棟のスペースに余裕がなくなったため、2号棟の構築に取りかかった。
1号棟では、仮想サービスの増加に伴う集約度の高まりにより、VLANの設定数が多く、トラフィック量の割にARPが増加。これらを収容するため、多くのエッジルーターを設置していた。2号棟ではこの課題を解決し管理を容易にするため、ネットワークのシンプル化とルーティングの棟内完結が目標となった。一方で、2号棟のキャパシティは約600ラックと広大なため、サービス部門からは約5万ホストを稼働させられるネットワークが求められていた。
この要求に応えるため、まず1号棟で使用している製品と同じベンダーの製品を検討したところ、3台で並列処理しなければならないと判明。より高い処理性能を求めて、ジュニパーの最上位Ethernetスイッチ「EX9200シリーズ」のうち、6RUシャーシ・4スロット搭載モデル「EX9204」を2台、エッジスイッチとして「EX2200シリーズ」を数百台導入した。
採用理由として、「EX9204」がシャーシ型製品のため、1スロットあたり24Gbpsをサポートするラインカードを追加して、処理能力を競合製品より高められる点を評価。また、サービスに使用する安定性の確保や、ルーティングポリシーの書き方が柔軟であるといった「EX9204」の相互運用性とプログラマビリティも重視された。
さくらインターネットでは、1つのバグや障害がシステムへ広範囲に影響しないよう、データセンター内で使用する機器が偏らないようにマルチベンダー製品で環境を構築しているが、ベンダーごとの癖の違いが問題になることもあったという。2号棟では「EX9204」の詳細なルーティング設定でこの問題を解決した。
設定に関する機能面では、東京・大阪・北海道と地理的に離れたデータセンター各拠点から遠隔監視や運用を行うため、「EX9204」の「コミット・ロールバック機能」が容易な管理に役立っているという。
2号棟は2014年2月頃から順次サービスインしている。現在は「EX9204」を中心とするアーキテクチャの最も効率的な運用方法を模索している段階。軌道に乗れば、2号棟をテンプレートとして今後3号棟、4号棟にも展開する予定とのこと。現時点では8号棟までの建設が計画されている。
今後の展望としては、ログ管理の効率化を図る。遠隔地からの監視は機器の実際の様子が把握できず、状況の理解はログに頼らざるを得ない。「EX9204」はさまざまな種類のログを詳細に出力するため、遠隔地からの状況把握を容易にするという。また、XML形式のログ出力による運用の自動化にも期待。これら柔軟なログ出力や外部コントロール用APIで運用を省略化し、削減したコストをユーザーの費用に還元できるよう、今後もEXシリーズを活用していくという。