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jig.jp、オープンデータプラットフォームサービスを開始
福井県鯖江市の「データシティ鯖江」がリニューアル
(2014/6/4 15:43)
株式会社jig.jpは4日、自治体がオープンデータで情報公開するための「オープンデータプラットフォーム(odp)」のサービスを提供開始した。同日よりすでに、福井県鯖江市のオープンデータサイト「データシティ鯖江」がリニューアルし、odpを採用したサービスを開始している。
odpは、オープンデータのためのデータ変換の基盤と公開用ポータルサイトのサービス。利用する自治体などが、Excelファイルをアップロードするだけで、Linked-RDF形式のデータを生成して公開できるのが特徴だ。
サービスのプラットフォームとしては、Amazon Web Services(AWS)のクラウドサービスを利用する。また、今月にはSAPのインメモリデータベース「SAP HANA」による高速化の実験も予定している。
ティム・バーナーズ=リー氏が提唱する「5つ星オープンデータ」では、オープンデータをデータフォーマットにより5段階に分類。1段階目がPDF、2段階目がExcel、3段階目がXML・CSV、4段階目がRDF、5段階目(5つ星)がLinked-RDFによる公開としている。現状ではデータを公開しているところでもPDFやExcelの形式が多く、進んでいるところでもXML・CSVまでがほとんどだ。
そこでodgでは、自治体職員がExcel上でデータを入力することで、専門知識なしで“5つ星”のLinked-RDFによる情報公開ができる。なお、Excelファイルは、あらかじめデータの種類ごとに用意されたテンプレートにデータを入力して作成する。
基本パッケージ(150万円/年)で、オープンデータ登録・管理サイトと、問い合わせ言語SPARQLでRDFデータから検索するエンドポイントサイトが含まれる。また、オプションパッケージ(50万円/年)で、オープンソースソフトウェア「CKAN」によるカタログサイトと、一般利用者向けの情報公開サイトにも対応する。
同日開催された記者会見には、鯖江市長の牧野百男氏も出席。「市民の参加と協働」「若者」「IT」の3つを鯖江氏のまちづくりの柱として挙げ、「行政サービスはどんどん複雑化、多様化していく。限られた財源の中では、オープンデータで民間と協働していかないと住民の期待に応えられない」と語った。
jig.jp 代表取締役社長の福野泰介氏は、odpの背景として、2013年度に総務省の「自治体オープンデータ実証実験」を担当した経験を紹介した。実証実験では、鯖江市と横浜市で共通のRDFフォーマットによりデータを作った。そのノウハウを元に、odpを開発した。
福野氏は、データとそれによるサービスを行政が抱えた状態から、行政が持つオープンデータを元に、民間がサービスを提供する形を「これからの行政サービス」として説明。さらに共通RDFとSPARQLによって民間のサービスが全地域のデータを共通に扱え、市民が全地域共通でサービスを受けられるようになると語った。
また、AWS日本法人であるアマゾンデータサービスジャパン 技術統括本部長の玉川憲氏は、自治体のオープンデータでのAWSのクラウドサービスの利点として、スモールスタートしてリソースを増やしていけることを挙げた。また、「データを安全に保存するプラットフォームとして世界中で使われている」として、シンガポールの「OneMap」や香港の「Data-HK.com」などの事例を紹介した。
SAPジャパン クラウドファースト事業本部シニアマネージャの吉越輝信氏は、「CSRではなく会社としてコミットする」と説明。オープンデータのプラットフォームに、ほかの自治体や民間企業が参加し、データを利用する取り組みがなされ、市民が利用していくことによって、データが循環していくビジョンを語った。