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日本IBM、オンライン圧縮機能を強化した「Storwize V7000」新モデル

ストレージ製品群を大幅に強化、

Storwize V7000
Storwize V7000の強化ポイント

 日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は20日、ストレージ製品群の強化・拡充を発表した。ミッドレンジストレージ「IBM Storwize V7000」や、ストレージ仮想化を実現する「SAN Volume Controller(SVC)」において、性能や機能を強化した新モデルを提供するほか、ハイエンドストレージ向けのフラッシュモジュール「IBM DS8870 Flashエンクロージャー」の強化や、ハイエンドテープライブラリの新モデル「IBM System Storage TS4500 テープ・ライブラリー」を新たに提供する。出荷は、6月6日より順次開始される予定。

 これらの製品のうちSANストレージのStorwize V7000は、ミッドレンジ向けの製品ながらも、データの自動階層化機能(Easy Tier)とストレージ仮想化を備えている点が最大の特長。ストレージ仮想化機能を利用すると、他社製品を含めたストレージをStorwize V7000に接続し、あたかも1つのストレージであるかのように利用することができる。

 Storwize V7000本体には、2Uサイズの筐体に24台の2.5型ディスク(SSD/SAS HDD)を内蔵できるほか、拡張筐体を増設することも可能だが、今回の新モデルでは、1台のStorwize V7000に最大20台(従来は9台)までの拡張筐体を追加できるようにした。拡張筐体は3.5型HDDなら12台、2.5型HDDなら24台のHDDを搭載でき、本体を含めた21台のクラスタを最大で4クラスタまで拡張可能なため、クラスタあたり、最大1056ドライブまでの拡張に対応する。

 また、データをオンラインでリアルタイム圧縮する機能では、搭載するCPUの強化に加えて、ハードウェアの専用アクセラレータを標準で1枚搭載(さらに1枚増設可能)し、より大量のデータを扱う場合への対応を強化している。ストレージ・セールス事業部長の波多野敦氏は「本番用ストレージのデータをリアルタイムで圧縮してディスクへ書き込むこの機能を使うと、データベースなど圧縮効率の良いもので80%、平均では55%削減できる」と、その効果を説明する。

 加えて今回は、従来は2階層だった自動階層化のEasy Tierが、SSD、高速HDD、大容量HDDの3階層にまたがった階層化に対応し、より効率の良い利用が可能になった。この、3階層のEasy Tierについてはソフトウェアで実現しているので、V5000/V3700をはじめ、ほかのStorwize製品でも利用できる。

 Storwize V7000新モデルの価格は855万円(税別)から。

 同様に、新モデルが提供されるSVCでも3階層のEasy Tierをサポートしたほか、ノードペアあたり2台までのSSD専用拡張筐体(SAS接続)を増設可能になった。このSSD筐体は、Easy Tierの最上位階層として利用したり、特定のLUNを高速化する高速プールとして利用したりすることができる。

Storwize V7000やSVCの圧縮機能
Easy Tierが3階層をサポート

 新たに提供される「System Storage TS4500 テープ・ライブラリー」は、大規模環境向けのテープライブラリ。前世代と同じ設置面積で3倍のデータをバックアップでき、最大4フレームで14.2PBのストレージ容量を格納できる。価格は1344万7400円(税別)から。

 最後の「DS8870 Flashエンクロージャー」は、ハイエンドストレージであるDS8870に搭載するフラッシュモジュール。フラッシュの性能を最大で3.5倍に高速化しており、HDDと比べて最大30倍、SSDと比べても最大4倍のIOPSを実現できる。物理容量は1台あたり12TBで、最大8台、96TBまでの拡張に対応している。

テープライブラリの強化
DS8870 Flashエンクロージャー

 「データ容量が無尽蔵に伸びる一方、コストは無尽蔵にはかけられないのが現状で、こうした状況に対応するためには、既存のインフラを徹底的に効率化し、浮いた部分を新規投資するしか解決策はない。当社では、ビッグデータなどの新世代アプリケーションに対応した製品を提供する一方で、Storwize V7000などの製品で従来型アプリケーションの効率化を支援していく」(波多野氏)。

ストレージ・セールス事業部長の波多野敦氏

石井 一志