ニュース

メラノックス、NVGRE仮想ネットワーク環境におけるハードウェアオフロードを実現

Ethernetソリューションに関する技術戦略説明会を開催

Mellanox Technologies社CEOのエヤル・ワルドマン氏

 メラノックステクノロジーズジャパン株式会社(メラノックス)は10日、同社の展開するEthernetソリューションに関する技術戦略説明会を開催した。あわせて、「ConnectX-3 Pro 10/40ギガビットEthernetアダプタカード」の出荷、およびWindows Server 2012 R2の仮想ネットワーク環境でのハードウェアオフロードを実現する最新Mellanox Windowsドライバ(Mellanox WinOF version 4.60)の提供を、同日から開始したと発表した。

 まず、イスラエルMellanox Technologies CEOのエヤル・ワルドマン氏が、Ethernetビジネスの最新動向とEthernet製品戦略について説明した。「近年、データ量は急速に増大し続けており、2020年には35ゼタバイトにまで達すると予測されている。また、2016年までに、インターネットに接続されるデバイスの数は365億を超えるともいわれている。こうした膨大なデータ量を扱うために、最大のボトルネックになっているのがI/Oの部分だ。当社では、このボトルネックを解消する先進の接続テクノロジーを提供している」という。

 「I/Oのボトルネック解消には、1つのI/O上に大量のメモリを搭載する方法が一般的だが、これではコスト効率が悪く、パフォーマンスも低下してしまう。これに対して当社では、I/Oの数を無限に増やせるよう、メモリを軽量化してスケールアップが図れる接続ソリューションを展開している。また、接続スピードについても、現在の1Gbpsや10Gbpsでは十分とはいえず、さらなる高速化が求められているのが実情。当社は、業界で唯一、エンドツーエンドで40Gbpsおよび56Gbpsをサポートする接続ソリューションを提供することが可能だ」と、ワルドマン氏は同社のEthernetソリューションの強みを訴えた。

 同社がメインターゲットとしている市場はHPC(High Performance Computing)分野で、同市場において40~50%のシェアを確保している。そして現在、このHPC分野で培ったテクノロジーをベースに、Web 2.0やクラウド、ビッグデータ、データベース、BI、ストレージなど、さまざまな分野にソリューション展開を拡大しているという。

 「当社の接続ソリューションは、すでに第7世代まで進化しており、それだけ多くの実績を持ち、他社よりもはるか先を進んでいると自負している。実際に、サーバー市場の10%に当社の接続ソリューションが採用されているほか、世界のペタフロップシステムの半分に当社のテクノロジーが使われている。また、Web 2.0やクラウド分野においても多数の大手企業が当社のソリューションを活用している」と、ワルドマン氏は述べている。

Ethernetソリューションのロードマップ

 今後のロードマップについては、「当社のEthernetソリューションはオープンプラットフォームをベースにしており、これまでにオープンネットワークのNICやスイッチ、Open Network Install Environment(ONIE)に対応したスイッチなどを提供してきた。今後、2014年から2015年には100Gbpsのオープンスイッチ、さらに2016年から2017年には200Gbpsをサポートした高速オープンスイッチをリリースすることを計画している」との見通しを示した。

 また同社では、今回の説明会にあわせて、1月10日から、昨年リリースした新製品「ConnectX-3 Pro 10/40ギガビットEthernetアダプタカード」を出荷開始するとともに、最新のMellanox Windowsドライバ(Mellanox WinOF version 4.60)の提供を開始した。新製品は、Microsoft Windows Server 2012 R2で新たに提供されるオーバーレイネットワーク技術「NVGRE」のハードウェアによるオフロード機能に対応しており、最新ドライバによって、このNVGREハードウェアアクセラレーションエンジンが利用可能になるという。

メラノックステクノロジーズジャパン ジェネラルマネージャの津村英樹氏

 メラノックステクノロジーズジャパン ジェネラルマネージャの津村英樹氏は、「現在のネットワーク仮想化は、パケットごとにNVGREやVXLANに対応したヘッダを付け加える必要があるため、CPUに大きな負荷がかかり、アプリケーション性能の劣化や統合率低下などを引き起こすという課題を抱えている。この課題を解消するのが、ハードウェアオフロード機能だ。同機能では、オーバーレイネットワークの処理機能をホストCPUからオフロードし、チップ上のアクセラレーションエンジンがサポートする。これによって、アプリケーション性能や統合率に影響を与えずにネットワーク仮想化を実現することができる」と説明している。

 「ConnectX-3 Pro 10/40ギガビットEthernetアダプタカード」のNVGREハードウェアアクセラレーションエンジンを使って、Hyper-Vの仮想オーバーレイネットワークを実装することで、「標準的なEthernet NIC を使用した場合と比べて、スループットを約65%向上し、CPU使用率を約80%低減できる」(津村氏)という。

 なお同社では、VMwareのVXLAN環境においてオーバーレイネットワークのハードウェアオフロード機能が使用可能となるドライバ(Mellanox OFED ESXi version 1.9.11)の開発を進めており、2014年4月に提供開始する予定だ。

唐沢 正和