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日本HP、SDN制御ソフト「VAN SDN Controller」など4製品を提供
SDNを“作りたい人”と“使いたい人”に向けポートフォリオを拡充
(2013/12/18 06:00)
日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は17日、SDN(Software-Defined Networking)関連のポートフォリオを強化すると発表した。SDN制御ソフト「HP Virtual Application Network SDN Controller」(以下、VAN SDN Controller)など、4つのソフトウェア製品を新たに提供する。
日本HPはこれまでも、ネットワーク管理ソフトウェア「Intelligent Management Center(IMC)」を中心に据え、アプリケーション視点でネットワーク設定を行える「Virtual Application Network(VAN)」の実現に積極的に取り組んできた。そのために、同社では、マネージメント、アプリケーション、コントロール、インフラストラクチャ(インフラ)といった4つの層それぞれで製品を提供。フルスタックでSDNの実現を支援している。
今回提供する製品もその戦略の延長線上にあるものだが、HPネットワーク事業統括本部 HPネットワーク製品 オペレーション部の尾崎亨氏は、「SDNについては、アプリケーション開発やインフラの構築などに適用していきたいといった、SDNを作りたいユーザーと、逆に完成されたものを使いたいユーザーの、2種類のお客さまがいる」という点を指摘。日本HPでは、それぞれの顧客層に向けた製品・サービスを提供していくという。
SDNを作りたいユーザーに向けては、まず、コントロール層の製品として、アプリケーションのSDN化を実現するための制御ソフトウェア「VAN SDN Controller」を用意した。REST/JavaのAPIを用いて、OpenFlow 1.0/1.3のスイッチなどのインフラ層を、アプリケーションから適切に制御できる仕組みを提供する。
またアプリケーション層における取り組みとしては、SDN対応アプリケーションの開発者に向けたWebサイト「HP SDN Dev Center」を開設。このサイトにおいて、開発キットである「HP SDN Software Development Kit(SDK)」を無償提供するほか、技術文書の公開などを行うとした。
VAN SDN Controllerの価格は、ベースライセンス(50ノードライセンスを含む1台のコントローラライセンス)が9万4500円、50ノード追加ライセンスが85万500円、冗長構成用のライセンスが170万1000円。開発者や小規模環境での検証などに手軽に利用できるよう、ベースライセンスは価格を抑えて提供されるという。
インフラ層でも、OpenFlow対応スイッチを今後も拡充するのに加えて、今回はソフトウェアルータ「HP Virtual Router」を提供する。仮想化ハイパーバイザー上(当初はVMwareとKVM)で動作する仮想マシン形態で提供されるが、既存のネットワークOSであるComware 7がそのまま動作しているため、「管理者からすれば、仮想・物理の違いを意識する必要はない。物理ルータが備えている、機能は基本的に提供されている」(尾崎氏)とのこと。
ラインアップには、実装可能な仮想CPU(vCPU)の違いで3種類が用意され、価格は1vCPUまでの「HP VSR1001」で9万4500円から。
一方、SDNを使いたいユーザーに向けては、IMCのアドオンとして「HP VAN SDN Manager」と「HP VAN Fabric Manager」を提供する。前者は、SDN環境を管理するためのモジュールで、これを追加することにより、従来のネットワーク環境とSDN環境を統合管理できるようになるという。尾崎氏は「SDNコントローラ、アプリケーション、物理/仮想スイッチなどを管理し、それらの状況をビジュアルに確認できるのが強みだ」と、価値を説明した。
後者のVAN Fabric Managerは、SPB(Shortest Path Bridging)、TRILL(Transparent Interconnection of Lots of Links)といった技術を利用した、ネットワークファブリックを管理するためのモジュール。「SPB、TRILLや当社のIRFなどの技術はレイヤ2レベルでの処理が多く、既存のツールではトポロジやデプロイなどをすべて管理することが難しかった」(尾崎氏)ことから、その部分を補完する役割を担う。
価格は、VAN SDN Manager、VAN Fabric Managerともに172万2000円から。
SDNを使いたいユーザーに向けたアプリケーション層の取り組みとしては、SDN対応アプリケーションの流通の効率化を狙い、「HP SDN AppStore」を2014年中盤にも開設する。「企業向けアプリケーションのSDN対応を進めたいというニーズが高いが、その際に『プログラムをしないといけないのか?』といった議論がある。当社では、こうしたストアを使って、迅速・安全にSDN対応をしていける環境を提供したい。また開発者にとっては、日本国内での流通を想定していたソフトが、ワールドワイドで流通するようになるといったメリットを提供でき、エコシステムの拡大には重要な役割を示すものだ」と、尾崎氏はこの狙いを説明した。