ニュース

日立、仮想デスクトップ環境構築を包括的に支援する統合ソリューション

グループ内のリソースを体系化、顧客のクライアント環境整備を支援

 株式会社日立製作所(以下、日立)は11日、日立コンサルティング、日立システムズ、日立ソリューションズをはじめとする日立グループ各社とともに、デスクトップ仮想化を中心とした、クライアントソリューション事業を強化すると発表した。

 日立ではこれまでも、2004年から取り組んでいるグループ内のデスクトップ仮想化のノウハウを生かし、さまざまな製品、サービスを提供してきたが、今回は新サービスを追加するとともに、クライアント統合ソリューション「Hitachi unified client experience platform」の名称で整備し、体系化して提供する。

 日立 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 事業統括本部 事業主管の中野俊夫氏は、今回の取り組みの意義を「日立グループでは、メニュー体系が整備されておらず、価格もわかりにくいといった問題のほか、グループ内に何社もあり、どこで何が提供されているのかが把握しづらかった。それを体系的に整備したのがHitachi unified client experience platformだ」と説明した。

 その特徴は、“新たなビジネス価値の創出を支援するクライアント環境の実現”をコンセプトに、投資計画の策定から、設計、構築、運用までをトータルに支援する点。社会が“ビッグデータ”時代に突入する中、そのデータをきちんと利活用するためのプラットフォームとして、クライアント環境が重要な役割を果たすようになっており、その観点から利用者・組織の価値創出につながる、クライアント環境の整備を支援するという。

 そのためのサービスとして、まず、日立コンサルタントが「クライアント環境構築策定支援コンサルティング」を用意する。これは、合計8万ユーザーが仮想デスクトップ(VDI)環境を利用している日立グループの経験・ノウハウを生かし、ユーザー企業に最適なクライアント環境の構想と投資計画の策定を支援するもの。中野氏は、「お客さまでは、最初からすべての『やりたいこと』がわかっているわけではない。そこで、やりたいことを聞き出し、将来のあるべき姿を導き出してロードマップを作っていくのがこのサービスだ」と説明する。価格は個別見積もり。

クライアント環境構築策定支援コンサルティング
日立 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 事業統括本部 事業主管の中野俊夫氏

 また実装にあたっては、日立のVDIプラットフォーム、周辺製品・サービス、運用支援サービスなどを「システム資産・運用最適化ソリューション」としてトータルに提供し、ユーザー企業の実装や運用を支援する体制を整えた。日立グループのさまざまな企業が製品・サービスを提供するにあたって、ユーザーからの窓口は1つに統合し、ワンストップでの提供を行っていくとしている。

 また日立グループでは、グループ横断のプロジェクト組織「クライアント統合ソリューション ビジネス開発ラボ」を設立。VDIをはじめとするクライアント環境の専門知識・経験を持つ人材を結集し、ユーザーやグループ内のビジネスを支援していくとのこと。人員は、当初は約100名でスタートする。

システム資産・運用最適化ソリューション
クライアント統合ソリューション ビジネス開発ラボ

 なお「システム資産・運用最適化ソリューション」において、「かんたんPrivate DaaS」「ターミナルサービス型仮想デスクトップサービス/プライベートDaaS」など、欠けていたパーツを補うものも発表された。

 このうち前者の「かんたんPrivate DaaS」は、ユーザー企業指定のデータセンターへ日立の資産としてVDI基盤を設置し、エンドユーザーがVDI環境を利用できるようにするサービス。ユーザー企業側の施設を利用プライベート型のため、各企業の情報ガバナンスを適用可能な一方、利用しやすい月額課金体系で提供するという。また、障害監視やユーザー管理といった運用サービスも日立が提供する。価格は、1サーバーあたりの課金となるリソース課金型の場合、月額13万1250円からで、2014年1月31日の提供開始予定。2014年5月30日からは、1ユーザーあたり月額6563円からのユーザー課金型も提供開始する予定だ。

 後者の「ターミナルサービス型仮想デスクトップサービス/プライベートDaaS」は、日立システムズのデータセンターにユーザー企業ごとに専有リソースを確保し、月額課金でサービスとして提供するもの。ユーザー企業の社内システムとの連携にも対応する。中野氏は「従来は大企業向けに提供されていたプライベート型のDaaSが、中堅企業などでも利用可能になる」と、その特徴を説明した。価格は1ユーザーあたり月額3045円から。

プライベートDaaS型のサービスを拡充している

 なお日立では、2014年4月に日本マイクロソフトからのサポートが終了するWindows XPからの移行をユースケースとして提示し、その支援にも注力する考えを示した。「Windows XPのサポート終了は、1つの投資機会と考えている。業務を棚卸しして、どうしても移行できないものは『ホワイトリスト延命ソリューション』などで延命する一方で、移行できる部分はクライアント環境を再構築する、といったアプローチにより、前向きな投資機会に転換できる」(中野氏)。

 日立では、2015年度にクライアントソリューション事業全体で、1200億円規模の売上高を目標としている。

Windows XPからの移行におけるユースケース

石井 一志