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顧客は“探す”から“育てる”へ――オラクル、マーケ自動化サービス「Eloqua」発売

Oracle Eloquaでマーケティングとセールスの連携を実現

 日本オラクル株式会社(以下、オラクル)は25日、マーケティング活動の自動化(マーケティング・オートメーション)を実現するSaaS型サービス「Oracle Eloqua」を発売した。

 Oracle Eloquaは、2012年12月にOracleが買収したEloqua社の製品。イベント・セミナー・広告などで取得した多数のリードから、有望な見込み客として営業部門に情報を渡すまでのプロセスを自動化する。

 見込み客のオンライン上の行動とプロファイル情報を基に案件を点数化。個人の興味とその度合いに合った内容を提供することで、自社製品への関心・理解を高めてもらう。さらに提案すべき製品や検討状況を特定しながらキャンペーンを実施することで、リードから見込み客に育成し、商談数を増加できるという。

リードを育てて顧客を増やすことの重要性

小島崇嗣氏

 アプリケーション事業統括本部 セールスクラウド営業本部長の小島崇嗣氏は、Oracle Eloquaで実現する、リードを育てて顧客数を増やす「リードナーチャリング」の重要性を説く。

 小島氏によれば、インターネット情報が充実し、さまざまな情報が収集できる昨今、B2Bの製品検討段階において営業と会うより前に購買製品/ベンダーを選定している購買担当者は57%におよぶという。つまり一昔前の“営業で稼ぐ”よりも“マーケティングで顧客を育てる”ことの重要性が増しているのだ。

営業と会うより前に購買製品/ベンダーを選定している購買担当者は57%
“営業で稼ぐ”よりも“マーケティングで顧客を育てる”ことの重要性が増している

 「しかし、セミナー・イベントの実施に終始し、案件生成まで貢献できていないというのが多くのマーケティング部門の実情で、キャンペーンで発掘したリードが半年・1年後など先の話だった場合、営業がフォローしてくれないという課題もある」と小島氏。

 そこで重要となるのが「リードナーチャリング」という考え方。これは購入準備の整っていない見込み客に対し、情報提供など継続的につながりを持つことで顧客に育てていくプロセスのこと。見込み客の属性や行動特性を基にニーズが予測でき、購入決定のために必要な情報を提供可能となる。

 数値の面でもこんな話がある。「例えば、セミナー・イベントで100件のリードを入手したとすると、そのうち80%はフォローの必要なしと即断できるもの。残りの20%は『案件として即断できるもの(30%)』と『すぐに熟成しないもの(70%)』に分けられる。後者のケースではこの時点で営業フォロー基準に満たないということで切り捨てるケースも多いが、実はこの70%のうち、8割(11件ほど)が2年以内に競合他社から製品を購入しているという調査がある。もしも2年間きっちりと見込み客として育てていければ、自社の収益になる可能性が高いのだ」(小島氏)。

「リードナーチャリング」とは
数値で見る「リードナーチャリング」の効果

Oracle Eloquaが実現する「リードナーチャリング」

 では、Oracle Eloquaは「リードナーチャリング」をどう支援してくれるのか。主な機能は「キャンペーンフローの全体管理」「オンラインの行動履歴管理」「リードのスコアリング」「分析」の4種類だ。

 「キャンペーンフローの全体管理」では、Webでの告知、メール配信、セミナー案内、ソーシャルへの投稿など通常のキャンペーン活動の一連のプロセスを図表により分かりやすく設計し、それに基づいて自動的に実行できる。設計はツール上のキャンパスに各施策アイコンをドラッグ&ドロップで行える手軽さ。ソーシャルやモバイルとの連携も容易に定義できる。

キャンペーンフローの全体管理

 「オンラインの行動履歴管理」では、ターゲットとする顧客の自社Webサイトへのアクセス状況やメールの開封率、クリックした記事、ダウンロードした資料などの行動履歴を把握・管理できる。

 そして核となるのが「リードのスコアリング」だ。見込み客の業種、企業規模、部署、役職などのプロファイル情報と上記の行動履歴を基に、自社製品・サービスへの興味度合いを自動判定できる。プロファイルで「自社のターゲットとしているリードであるか?」が、行動履歴で「リードの興味度合い(反応頻度)が高いか?」が分かるのだが、Oracle Eloquaでは「ターゲット対象・対象外」「興味度合い高・低」の四象限(さらに一象限を4つに細分化)に各リードをプロットしてくれる【下図参照】。

キャンペーンフローの全体管理

 例えば最も“HOT”なA1にはプロモーションAを展開し、“COLD”はC3には地道な情報提供を行うなど、明確な指針の下でマーケティングプランを策定できるのが強みという。

 これら施策を打った後には「分析」機能でさまざまなレポートを作成、効果測定を支援する。キャンペーンに関する情報をさまざまな軸で分析することが可能で、メール配信結果や反応数、ニュースレターの閲覧数、イベント登録者数とアクセス可能数、Web流入経路やページごとのアクセス動向、最終的にキャンペーンが売上に貢献したかなど、グラフィカルなレポートで可視化できる。

さまざまな分析レポートで効果測定

活況なマーケティングオートメーション市場

 昨今、マーケティングオートメーション市場は非常に活発だ。OracleによるEloqua買収以外にも、2012年8月にMicrosoftがMarketingPilot社を、2013年6月にAdobeがNeolane社を、salesforce.comがExactTarget社を買収。国内でもシャノンやシナジーマーケティングなどがしのぎを削る。

 後発となるオラクルだが「製品機能とグローバルなサポート体制を強みにシェア拡大を目指す」(同氏)考えだ。

 Oracle Eloquaは、機能および管理ユーザー数などに応じて3つのエディションが用意される。下位モデルの価格は、対象数が1万コンタクトで月額20万円から。

川島 弘之