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レッドハット、デル、インテル、ブロケードの4社、クラウド型NFVソリューション商用化に向けた共同検証を実施

 レッドハット株式会社、デル株式会社、インテル株式会社、ブロケード コミュニケーションズ システムズ株式会社(以下、ブロケード)の4社は20日、OpenStackを利用した通信/サービス事業者向けクラウド型NFVソリューションの共同検証を実施したと発表した。

 今回の検証は、通信サービスにおいて、通常は企業ネットワークなどに設置される顧客構内設備(CPE)を、通信/サービス事業者側のデータセンターに集約し、サービスとして提供する「クラウドWANサービス」実現に向けた取り組みの一環である。

 従来、企業では各拠点にVPNゲートウェイやルータをはじめとするCPEを設置し、通信/サービス事業者のネットワークを介してWANを構成している。しかし、拠点が数十カ所、時には数百カ所となると、管理に必要な人的コストが膨大になるし、障害対応にも当然手間がかかる。また、異なるサービスを利用しようとした際に、また違うハードウェアを導入するのでは、コスト面でも負担となってくる。

 ブロケード 執行役員 SDN/NFV ビジネス開発本部The New IP 推進室本部長の尾方一成氏は、こうした点を指摘。クラウドWANサービスを実現する上で「ソフトウェアを使って、多数のCPEをいかに楽に運用するか、オンデマンドで新しいサービスを提供できるようにするか、ということの解がNFV技術を利用したvCPE(仮想CPE)だ」と説明した。

従来の構成とNFVクラウド型(クラウドWANサービス)の違い
ブロケード 執行役員 SDN/NFV ビジネス開発本部The New IP 推進室本部長の尾方一成氏

 今回の検証では、1台の2ソケットサーバー(Dell PowerEdge R630)に、レッドハットのOpenStackソリューションであるRed Hat Enterprise Linux OpenStack Platform 7を載せ、その上に40インスタンスの仮想ルータ(vCPE)を集約。各インスタンスの通信性能を1Gbps均等に維持して、計40Gbpsの通信性能を達成している。なお仮想ルータには「Brocade 5600 vRouter」を採用したほか、インテルのデータプレーン開発キット(DPDK)などの製品技術を利用している。

今回の共同検証の概要
事業者向けNFV/SDNの概要

 「ネットワークの場合、処理でCPUに負荷がかかる印象があるし、1つのサーバーに何台載せられるかもわからない。しかし、設定をどうチューニングすればパフォーマンスが出せるかということや、実際に40台動かせることを実証した」(尾方氏)。

 また、この検証の“肝”は、「すべてのvCPEで同じ性能が出せ、不均衡が起こらないこと」だという。事業者で本番のソリューションとして稼働させる場合、各vCPEは異なるユーザーに割り当てられることも想定されるため、特定のvCPEでスループットが出ても、それがほかのvCPEに影響してしまっては意味がない。しかし今回は、Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform 7の機能を利用し、きちんと各vCPEの性能をバランスさせているため、「これまでも、ベストエフォート的な展開は可能だったが、SLAを考慮した提供が可能になる」(尾方氏)とした。

NFVI向けOpenStack

 レッドハットのアジア太平洋地域 事業開発戦略本部 テレコム&NFV チーフテクノロジストの杉山秀次氏も、「NUMA(Non-Uniform Memory Access)のトポロジを考慮したメモリアサインの仕方により、均一な性能が実証できたのは成果といえる」と、公平な性能を各vCPEに提供できたという点を強調。また仮想環境を利用することについても、KVMもベアメタルと比べて95.4%の処理能力を実証できているので、性能面で不安のあるユーザーにも納得してもらえるのではないかとした。

レッドハットのアジア太平洋地域 事業開発戦略本部 テレコム&NFV チーフテクノロジストの杉山秀次氏
ベアメタルと遜色ない処理性能を提供できるという

 なお4社では国内の事業者と手を組み、「クラウドWANサービス」の実現に向け、今回のソリューションの商用展開を図りたい考えで、2016年ごろの提供を目指して協業や共通チャネル構築を進めるとしている。

石井 一志