ニュース

アナリティクス・プラットフォーム新版「SAS 9.4」発売、クラウド型の導入形態に対応

 SAS Institute Japan株式会社(以下、SAS Japan)は1日、SASソフトウェアの基盤となるアナリティクス・プラットフォーム「SAS 9.4」を国内で発売した。クラウドへの対応を進めたのが特徴。また、SAS 9.4対応製品の第1弾として、ビジュアル・データ探索ソフト「SAS Visual Analytics 6.2」も国内販売を開始した。

PaaS対応を進めた「SAS 9.4」

小林泉氏

 SAS 9.4では、セキュリティ、認証、スケーラビリティ、可用性に関する機能を強化するとともに、既存のSASアナリティクス製品のライセンスに、ビッグデータ分析を可能にするインメモリ・アナリティクス製品「SAS High-Performance Alanytics」の機能を標準搭載。

 同機能は、従来のように超並列処理型(MPP環境)だけでなく、新たにシングルサーバー版(SMP環境)で活用できるようにしたため、すでにシングルサーバー上でSASアナリティクス製品を導入済みの顧客は、追加費用なしでビッグデータ分析を行えるという。

 また、ソースコードを見直し、クラウド環境と親和性の高いアーキテクチャに刷新。クラウド対応を進めた。具体的にSASソフトウェアに加えて、独自開発のWebサーバー、アプリケーションサーバー、管理ツールをパッケージ化した「SAS vApp」を提供し、仮想環境(クラウド環境)に迅速・柔軟に配置可能にする。顧客はSASのインストール・設定作業から解放され、即座にSASの機能を利用開始できるという。

 従来、アナリティクス製品のSaaS、IaaS(Amazon EC2などへの展開)を進めてきた同社だが、SAS vAppによりPaaS(SASクラウドアプリケーション開発)にも対応した形だ。

 これにより、多様な導入形態を実現。「従来のオンプレミス型、ホスティング型に加え、プライベート/パブリッククラウド型など、企業戦略に応じて最適な配置を選択できる。また、シングルサーバーから始めて段階的にMPP環境へ移行することも容易となった」(ソリューションコンサルティング第一本部 Information Management&Analyticsグループマネージャーの小林泉氏)としている。

SAS High-Performance Alanyticsがシングルサーバーでも利用可能に
クラウド環境と親和性の高いアーキテクチャに刷新し「SAS vApp」を提供

 なお、SAS 9.4では、顧客のビジネスニーズに合わせて機能を特化させた6種類の「SAS High-Performance Analytics パッケージ」も提供する。「データマイニング」「テキストマイニング」「最適化」「統計解析」「フォーキャスティング(予測)」「計量経済分析」の6つのアナリティクス手法・分野からなる製品群で、高性能・拡張性を備えた独自のインメモリ・アナリティクス・テクノロジによって、データの量や種類、業種を問わず迅速に洞察を導けるという。

アナリティクス機能を強化した「SAS Visual Analytics 6.2」

“Easy Analytics”がコンセプト

 SAS 9.4第1弾として提供されるSAS Visual Analytics 6.2は、分析したいデータ項目をドラッグ&ドロップするだけで自動的にグラフ化してくれて、ユーザー部門もセルフサービスで直感的な分析が行える、“Easy Analytics”をコンセプトとしたビジュアル・データ探索ソフトだ。BI(過去の分析)とBA(将来の予測)の機能を兼ね備え、BIの領域から一歩前進しアナリティクスの導入を模索する企業に最適なソフトとして訴求する。

 新版では、新たなアナリティクス機能として、ディシジョンツリー(決定木)と需要変動要因を利用した時系列予測、予測シミュレーション機能を追加した。レポーティング、モバイル対応、セキュリティの強化も図り、対応プラットフォームとしてRed Hat Enterprise Linux 6およびSUSE Linux Enterprise Server 11に加えて、Windows 64ビット版も新たにサポートした。

 価格は850万円から。

“ターゲット”と“説明変数”を決め、ドラッグ&ドロップするのみで、簡単に決定木分析が可能
説明変数を決定し、ドラッグ&ドロップするのみで、需要変動要因を考慮した予測が可能
需要変動要因となる説明変数の将来値を変更して、シナリオ分析(What-if分析)が可能

川島 弘之