クラウド特捜部

SoftLayerを武器にクラウドをロックオンしたIBM

IBMならではのクラウドへ

――今後、SoftLayerにIBMのPowerサーバーが用意されたり、Watsonなどで有名になったIBMの機械学習システムなどが利用できるようになるのではと思うのですが?

 現状では、SoftLayerはx86/x64サーバーだけを提供しています。しかし、IBMがSoftLayerを買収したということを考えていただければ、今までIBMが持っているさまざまなリソースをSoftLayer経由で提供しようと考えるのは当たり前のことでしょう。

 今、どのようなサービスをSoftLayerで提供できるようになるかは、明確に言えませんが、Powerサーバーなども、できるだけ早いタイミングでサービス化されることを期待しています。

 ただ、単にSoftLayer上でPowerサーバーを提供するというだけでなく、x86/x64サーバーではできないソリューションをPowerサーバー上で提供していかないといけないと思っています。例えば、Powerサーバーの有り余るコンピューティングパワーを生かして、ビッグデータ分析を超高速で処理する、といったことができれば、多くのユーザーの方々にメリットを感じていただけると思います。

 このほか、PureApplication SystemなどもSoftLayerで提供されていくことになるでしょう。

 SoftLayerは、現在IBMがキーワードにしている「IBM as a Service」、つまりIBMが持つハードウェア、ソフトウェア、アプリケーションなどをサービス化して、クラウドで提供していく、といった戦略を実現するための、大きな入り口になるのかもしれません。

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 SoftLayerを買収したことで、事業形態をクラウドサービスにシフトしつつあるIBM。日本でSoftLayer事業が成功するには、いち早く日本にデータセンターを設置する必要があるだろう。AWSやAzureにおいても、日本にデータセンターができることでビジネスが大きく飛躍したことを考えれば、日本国内にデータセンターがあることで、国内企業や自治体など公共や政府などのデータが国外に出ないというのは必須といえる。

 こういったインフラの上にどれだけ新しいサービスが提供できるのかというのが重要になるだろう。単に仮想マシンを貸し出すIaaSだけではコスト競争に飲み込まれてしまう。やはり、IBMが今まで培ってきたさまざまなソリューションをどのようにSoftLayerで提供できるかと言うことが、今後の鍵となるのだろう。

山本 雅史