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日立と日本マイクロソフト、効率的なクラウドの実現に向けたサーバー仮想化分野で連携強化

 株式会社日立製作所(以下、日立)は24日、日本マイクロソフト株式会社との連携を強化すると発表した。具体的には、効率的なクラウド運用を実現するソリューションの開発、提供に向け、「Virtage for Hyper-Vソリューションセンター」を同日付で共同開発するとともに、2013年度上半期にソリューション提供を開始するという。

 日立では2006年に、独自のサーバー論理分割機構「Virtage」を開発し、ブレードサーバープラットフォーム「BladeSymphony」に搭載してきた。Virtageは、LPAR(論理区画)間の高い独立性を持ち、物理サーバーと同等の信頼性を確保できるため、すでに企業の基幹系・大規模システムなどで利用が進んでいる。

 また2012年9月には、3LPAR上でサーバー仮想化ソフトを安定して動作させる技術を開発し、Virtageに搭載。これによって、マルチテナントのクラウドシステムにおいても、高い集約性とテナント間の独立性を両立できるようになった。

 今回、日立と日本マイクロソフトでは、LPAR上での複数のサーバー仮想化ソフトを動作させるVirtageの最新技術に、日本マイクロソフトのサーバー仮想化ソフト「Windows Server 2012 Hyper-V」(以下、Hyper-V)を適用できることを共同で検証した。

 具体的には、1台の物理サーバーをVirtageで分割して複数のLPAR上でHyper-Vを動作させた環境で、ほかのLPAR上のHyper-Vに移動させる「ライブマイグレーション機能」や、ビジネス継続性と障害回復に備える「Hyper-V レプリカ機能」などが動作することを検証。Virtageが持つ高い独立性と、Hyper-Vの柔軟な運用性を兼ね備えたクラウドシステム基盤として機能することを確認したという。

 両社はこの検証結果をもとに、Hyper-VとVirtageを組み合わせた効率的なクラウド運用を実現するソリューションを提供する考えで、その開発に向け、東京・港区の日立ハーモニアス・コンピテンス・センター内に「Virtage for Hyper-Vソリューションセンター」を共同開設し、ソリューション開発を進めていくとのこと。

 具体的な成果としては、2013年度上半期(4月~9月)に「高信頼サーバ仮想化ソリューション for Hyper-V」を提供するほか、2013年度中には、日立のクラウドソリューション「Harmonious Cloud」へ「高信頼サーバ仮想化ソリューション for Hyper-V」を適用する予定としている。

 なお「高信頼サーバ仮想化ソリューション for Hyper-V」の導入に向けては、クラウドサービス事業者や企業の情報システム部門を対象として、検証環境の貸し出し、ソフトウェアベンダーへの検証支援、導入に向けたコンサルティングなども実施する。

(石井 一志)