ニュース

日本HP、リアルタイム分析DBソフト「HP Vertica」販売を強化

Hadoop連携を拡張した新版を提供

中川いち朗氏

 日本HPは19日、データウェアハウス(DWH)向けに特化したリアルタイム分析データベース(DB)ソフト「HP Vertica Analytics Platform(以下、HP Vertica) 6.1」を発売した。

 HP Verticaは、米HPの買収によって子会社となっていた米Verticaの製品。今回、同社が米HPのセールスオペレーションに統合された。それに伴い、日本HPもソフトウェア事業部門にVertica事業本部を設立し、「HP Verticaの拡販を通じて、業務データ分析からビッグデータにおける近未来分析まで幅広い顧客のDWH/BI導入を支援する」(常務執行役員 HPソフトウェア事業統括の中川いち朗氏)。

 HP Verticaは、DWH向けに最適化された列指向のDBソフト。DBの列ごとに処理を行うことで、ディスクI/Oとメモリ容量を大幅に削減する。列指向というと「Sybase IQ」なども有名だが、「競合他社がアプライアンスなのに対して、HP Verticaはソフトなのが特長。1TB単位での販売が可能で、スモールスタートできる軽快さを備える」(HPソフトウェア事業統括 Vertica事業本部の相澤恵奏氏)という。構造化データが対象。同じくHPが買収したAutonomyの非構造化データを対象とした製品と合わせて、同社のビッグデータ戦略の要とする。

他社製品との位置付け。ソフトの軽快さを強みとする
HP Verticaの特長

 HP Verticaは「列指向」であるほか、「データ圧縮技術」「超並列アーキテクチャ」「ノードダウン時の継続実行機能」を備えるのが特長。

 「データ圧縮技術」では、カラムごとのデータ属性に応じて最適な圧縮アルゴリズムを使い分けることで、50%~90%の圧縮率を実現したとする。

 また、「超並列アーキテクチャ」ではシェアードナッシング方式を採用することで、Linuxを搭載したx86サーバーを増やしてリニアに性能を向上できる。容量課金のライセンスモデルを採用しているため、サーバーノード追加によるライセンス料は発生することなく、コストパフォーマンスにも優れるとのこと。

 スケールアウトした際、あるノードのレプリカを別のノードに最大2つまで保持できるのが「ノードダウン時の継続実行機能」。これにより、ノードがダウンしても、レプリカを保持するほかのノードを使ってサービスを継続できる。

 HP Vertica 6.1ではこのほか、分析関数の強化、パフォーマンスの改善、Hadoopとの統合の拡張(VerticaからHDFS上に配置されたファイルを直接読み込み可能)、Amazon EC2クラウドへの背部の簡素化などが図られている。

 価格は、ロード前データ1~10TBまでの場合の1TBあたりで840万円(税別)。1TB/3ノード限定の無償トライアル版も提供する。

サーバーにバンドルしたスターターキットも提供

 ターゲット顧客は、キャリア、自動車、小売、金融、ゲーム業界。または既存DWHシステムで課題を持つ企業としている。販売モデルは直販とパートナー販売の両輪体制。BIベンダーやETLベンダーなどとの連携強化も推進する。

 ソフト単体販売を行う一方、スターターキットとしてサーバーにHP Verticaをバンドルした製品も提供する。具体的には「HP BladeSystem c3000」にHP Verticaとマイクロストラテジー製BIツール「Micro Strategy 9.3」をバンドルし、セットアップ作業や保守とともに販売。価格は999万円(税別)。

(川島 弘之)