日本HP、経営戦略に沿ったIT変革を支援するアドバイザリーサービス

大規模買収に伴う自社IT変革ノウハウが強み


テクノロジーコンサルティング統括本部 コンサルティング本部長の庄野雅司氏

 日本HPは9日、経営戦略に整合したIT変革を包括的に支援する「HP IT変革アドバイザリーサービス」を発表した。HP自身が合併を通じて実施してきたIT変革をベストプラクティスとして、IT全体の最適化をサービスメニュー化して提供する。

 CompaqやEDSなどの大規模企業合併を行ってきたHP。そこでのIT最適化に関する実証済みベストプラクティスを活用し、そのノウハウとメソドロジーを全世界で共通サービスとして提供するのが「HP IT変革アドバイザリーサービス」だ。

 テクノロジーコンサルティング統括本部 コンサルティング本部長の庄野雅司氏によれば、「IT変革を支援するサービスは数多く存在するが、実現可能性に乏しいものも多い。CIOやIT企画部門も計画は策定するが、実行段階でうまくいかないこともある。今回の新サービスでは、“実現可能性、実現可能な計画”にこだわり、そのために、実際の成功事例から成功要因を考え、各業界色を意識して成功要因を組み入れるという手順を取っている」のが特徴となる。

 具体的に、HPのIT変革(CompaqやEDSなど大規模買収、データセンターの統合など)の経験をメソドロジー化し、業界別・業界横断のリファレンスアーキテクチャを提供する。日本企業には日本の特殊性も反映。OSSアーキテクチャも用意することで、要望に応じてベンダーフリーでの支援も行う。

同様の他社サービスと比べた差別化要因。HP自身の大規模な企業合併に伴う経験が強み

 テーマは「IT戦略&構想策定」「クラウド&データセンターインフラストラクチャ」「バーチャルワークプレース」「ネットワーク」「セキュリティ」。これらに対して、「ITラウンドテーブル(事例紹介/勉強会)」「アセスメント」「ワークショップ」「構想・計画立案」の4つのサービス形態で支援する。

サービス概要4つの形態でサービスを提供
ITラウンドテーブル(事例紹介/勉強会)
アセスメント
ワークショップ

 「ITラウンドテーブル(事例紹介/勉強会)」では、HPや他社の変革事例からベストプラクティスを学ぶとともに、最新のITトレンドについて最新技術動向などの技術的側面や運用、アウトソース動向などの非技術面から学ぶ。これらを通じて、IT最適化のヒントや方向性を検討する。

 「アセスメント」では、変革事例に基づく体系的な調査手法により現状を可視化した上で、ベンチマークや数量分析を通じて、状態を客観的に把握する。同時に目指すべき方向性を定め、その費用対効果を算出することで、企画の正当性を高める。

 「ワークショップ」では、検討すべきポイントをさまざまな視点からまとめたトピックエリア(ゾーン)として設定。関係者とコンサルタントが集まり、ゾーンのテーマを検討することで、変革の方向性と構想を短期間でまとめる。関係者が共通の構想を共有することで変革の流れを作る。

 「構想・計画立案」では、無駄や漏れのない実現性の高い全体構想計画を策定。HPの先進的なアーキテクチャを参照することで、短期間に稼動検証済みのアーキテクチャを描くという。さらにベストプラクティスを通じて、ITだけでなくITを使う仕組み(プロセスやガバナンス)まで確立する。

 日本HPは5月から本社を江東区大島に移転。9月にはワークショップやデモンストレーションを通じて、企業ごとに異なるIT変革の実現をサポートする戦略的拠点「Executive Briefing Center」を新オフィスに開設した。今回のサービスは、同拠点から提供する新サービスとなる。これに伴い、コンサルタントの増強も図る方針だ。

 価格は、「ITラウンドテーブル(事例紹介/勉強会)」が無償。「アセスメント」「ワークショップ」が数百万円程度。「構想・計画立案」は範囲や粒度により異なり、数百万円~数千万円のレンジとなる。同社は今期中に50件の案件化を目指す。

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