日本HP、データセンター全体の空調最適化ソリューション「HP DCEE」

無線センサーで温熱環境を可視化

データセンター環境を可視化するHP DCEE

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は3月8日、データセンター環境を可視化する「HP Data Center Environmental Edge(以下、HP DCEE)」を発売した。熱だまりの発見やレイアウト変更時の効果測定などに最適という。併せて、「導入コンサルティングサービス」も発表。ユーザー環境を実施調査し、最適な導入設計についてアドバイスする。

 HP DCEEは、データセンター内の各センサーから温度・湿度・風圧などの情報を収集し、モニタリングソフト「HP Insight Environmental Observer(以下、Observer)」に一覧表示するもの。リアルタイムでエネルギー使用量を可視化し、ドリルダウンにより特定エリアの詳細データを閲覧可能。

 エアフロー管理、空調機の過剰設置、湿度制御、ラックの過剰冷却、フロアタイル交換時の調整など、環境傾向を最長180日間トラッキング。データセンターの模様替えによる環境影響を可視化して、問題発生時にアラートで通知できるようになる。

システムレベルで最適化する既存の「HP Insight Control」と、今回のHP DCEEを合わせて、システム・ファシリティ両面からアプローチするのが日本HPの戦略ワイヤレスによる情報収集のため、柔軟な設置が可能実際のレイアウト図に基づいて、リアルタイムに温熱環境を可視化する

 最大の特徴は「ワイヤレスセンサーを利用する点。非常に簡単に設置できるし、レイアウト変更にも柔軟に対応できる」(インダストリー・スタンダード・サーバー事業統括 製品マーケティング本部 製品企画部の中井大士氏)。

 収集されたデータは、Observer上に一覧表示され、ラックレイアウト、温度・湿度・静圧の分布、日次での平均/最大温度・湿度・静圧のほか、熱だまりの発生領域もひと目で把握できる。

 標準で可視化できる項目は、「ラック前面・背面の温度・湿度」「空調機周辺の温度・湿度」「床下の静圧」。このほか「ドア開閉監視」「冷水の流量」「電力(kWh)測定」「PUE算出」「分電盤の電力」などもオプション項目として可視化できる。

ペースソリューション。標準でラック・空調機周辺の温度・湿度、床下の静圧が可視化できる電力まわりの測定によるPUEの算出など、より詳細なファシリティ監視をオプションで実現

 200平方メートル区画、ラック60本、空調機3台での参考価格は、345万9750円から。

 併せて、ファシリティを設計・開発する「HP クリティカル・ファシリティ・サービス(HP CFサービス)」の新サービスとして、HP DCEEの導入コンサルティングサービスを提供する。1)フロア図や現況の確認と導入打ち合わせを行う「現地調査」、2)レイアウト作図、センサー配置計画、作業計画を練る「事前計画」、3)レイアウト図の読み込み、Observerの設定、動作確認を行う「初期設定」、4)レポート作成とオリエンテーションを行う「設定書」の4ステップで、参考価格が157万5000円から。

HP CFサービス。買収した米ETP MCFのノウハウを生かし、ファシリティの設計・開発を支援するもので、2008年6月に発表されたHP DCEEの導入コンサルティングサービス概要





(川島 弘之)

2010/3/8 13:43