日本HPがネットワーク事業戦略を説明、「フルポートフォリオでお客さまに価値を提供する」


代表取締役 社長執行役員の小出伸一氏
執行役員 エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括兼HPネットワーク事業本部長の杉原博茂氏

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は10日、ネットワーク事業戦略に関する記者会見を開催。米3Comの製品を取り込んだことによって、「サーバーからストレージ、ネットワーク、サービスまで、フルポートフォリオでお客さまのビジネスに対応できる」(代表取締役 社長執行役員の小出伸一氏)との強みを再三繰り返した。

 米HPによる3Comの買収は、2010年4月にすべての手続きを完了。同年7月からは組織が統合され、HPの一部門としてあらためて動き出している。この3Com買収の価値について、日本HP 執行役員 エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括兼HPネットワーク事業本部長の杉原博茂氏は、「今までネットワークはエッジ製品のProCurveしか当社は持っていなかった。今後は、(コアからエッジまでの)すべてが提供可能になる」と説明する。

 クラウドサービスの普及などもあり、すべての端末、サーバーなどが当たり前のようにネットワークに接続している現在は、この意味はとても大きい。一般的な企業システムであれば、ネットワークを抜きにした構成など考えられないが、従来の日本HPでは、コアスイッチや高性能なルータなどの製品を持っていなかったため、どうしても他社の製品を使わざるを得なかった。しかし3Comの製品を加えたことでフルポートフォリオが完成し、サーバー、ストレージ、ネットワークと、冷却やITリソースの統合管理までを含めた「HP Converged Infrastructure」の実現に向け、本格的に踏み出せるようになっているのだという。

 これについて、エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 HPネットワーク事業本部 エンタープライズ営業本部兼パートナー営業本部 本部長の久保田則夫氏は、「首尾一貫した、安定したネットワークのインフラをお客さまに提供することで、サーバー、ストレージ、アプリケーションの安定した利用が可能になり、それがひいてはお客さまのTCO削減につながっている」と述べ、日本HPのソリューションこそが、顧客の課題を解決できる唯一のものだとアピールしていた。


他社とのポートフォリオ比較日本HPのネットワーク製品のポートフォリオ
エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 HPネットワーク事業本部 エンタープライズ営業本部兼パートナー営業本部 本部長の久保田則夫氏

 久保田氏が引用したDell'Oroのデータによれば、2010年第1四半期のネットワークスイッチ(レイヤ2/レイヤ3)のシェアは、ワールドワイドでは3Comが10.1%、HPが9.9%と、50%近いシェアを持つCiscoには遠く及ばないものの、4位以下は大きく引き離している状況。この両社の合併により、ワールドワイドでは20%の市場シェアを持つ“確固たる第2位”のベンダーとなったが、残念ながら国内では第3位とのことで、久保田氏は「できるだけ早く2位を取る」との意気込みを述べた。

 そしてそのための施策として、ネットワーク、サーバー、ストレージを一体にした販売の強化や、クラウドの進展によって今後拡大が見込まれるデータセンター向けのビジネスも、低コスト・低消費電力などを訴えて、さらに強化する考えを示す。またパートナー経由の販売も従来通り力を入れ、既存のPC/サーバー系の販売チャネルを活用するとともに、Cisco製品を扱っているようなネットワーク専業リセラーについても、積極的に開拓するとのこと。具体的には、低価格を武器にした新規パートナーの取り込みを図るほか、地場のパートナーの獲得も目指すとしている。

 なお久保田氏は、合併前の3Com日本法人(H3Cテクノロジージャパン)で社長を務めていた人物で、当時のビジネスについて、「3Comは、製品はあってもネットワーク専業であるがゆえに、ある程度以上伸ばすことができなかった」と振り返る。しかし今回、日本HPに統合されたことにより、「サーバーなどとあわせて提供することで、急拡大が見込めると思っている」と述べ、今後の展開に自信を示していた。

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