H3Cジャパン、100GbEにも対応可能なシャーシ型コアスイッチなど


H3C S12500シリーズ
H3C S5800シリーズ

 H3Cテクノロジージャパン株式会社(以下、H3Cジャパン)は7月22日、データセンター向けのシャーシ型コアスイッチ「H3C S12500シリーズ」と、ボックス型の10Gigabit Ethernet(10GbE)スイッチ「H3C S5800シリーズ」を発表した。いずれも9月の提供開始を予定する。

 S12500シリーズは、10GbEポートを多数搭載可能なデータセンター向けのレイヤ3スイッチ。マルチプレーン・スイッチング・アーキテクチャを採用し、最大6.6Tbpsのスイッチング処理能力、2160Mppsのパケット処理能力を備える。インターフェイスは、最大512基の10GbEポートを搭載可能。ノンブロッキング構成でも、10GbEポートは最大128基、GbEは最大864基まで搭載できる、高いポート密度を実現した。また、次世代の高速インターフェイスである40GbEならびに100GbEにも対応可能で、次世代規格にもシームレスに移行できるという。

 さらに、仮想シャーシ機能「IRF バージョン2」をサポートし、地理的に分散する複数のS12500シリーズを、単一のスイッチングファブリックとして動作・管理できる点も特徴。この機能によって、ネットワークの処理能力増強と耐障害性の向上を実現するほか、データセンターでのバーストトラフィックに対応するため、高度なQoS機能と大容量のバッファをサポートした。

 ラインアップとしては、8スロットを備えた「S12508」、16スロットを備えた「S12518」の2モデルが用意される。参考価格は、10GbE×64を搭載した、完全冗長構成時のS12508が4660万円となっている。

 一方のS5800シリーズは、2Uサイズもしくは1Uサイズのボックス型レイヤ3スイッチ。10GbE対応の「S5820X」が2モデル、1000BASE-T対応の「S5800」が6モデル、同じく1000BASE-T対応の「S5810」が1モデル、それぞれラインアップされる。

 いずれの製品も高密度なネットワークポートの実装に対応し、例えば「S5820X-28S」は、1Uサイズの筐体に10GbEポート×24と1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T×4を搭載可能。「S5800-56C-PWR」も、1Uサイズの筐体にPoE対応の1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T×48、10GbE×1と拡張スロット×1を備えている。なお、S5800シリーズもIRF バージョン2に対応しているため、4台スタックすれば、10GbE×88、もしくはGbE×280の巨大な仮想スイッチを構成できるとのこと。参考価格は128万円から。

代表取締役社長の久保田則夫氏

 なおH3Cジャパンではこれまで、「入札で参入可能な、文教、政府関連の市場を戦略的に攻めてきた」(代表取締役社長の久保田則夫氏)ものの、コア製品の提供などによってラインアップが強化されたことで、各種データセンターの市場についても戦略的に狙っていくという。

 しかし、「H3Cは3comの100%子会社であることが認識されておらず、まだ名前が浸透していない面もある。また、レイヤ2のエッジ製品の企業だというイメージを抱かれているお客さまも多い」(久保田社長)ことから、総合的なブランドイメージの向上も急務。そのためにも、3comのバックボーンをもとにした広範な製品ポートフォリオを持っている点を強調し、「ITインフラ全体を、責任を持ってお届けできる企業である、という点をお客さまに訴えていく」と述べた。

 具体的な戦略としては、「CAPEX(初期コスト)、OPEX(運用コスト)の削減というゴールに焦点を絞り、当社のポートフォリオを通じた価値提案を行っていく」(久保田社長)考えを示す。外資系の競合ベンダーが保持していない、いわゆる“島HUB”向けの小型スイッチなど、国内のニーズを組み込んだ製品を提供することで、初期投資を削減。あわせて、「永年保障の製品提供による保守費の削減を実現するほか、競合と比べて低い初期不良率、故障率に裏付けされた高い品質により、障害対応の費用など、見えないコストもカットできる」とし、顧客にコスト面から価値を訴求するとしている。

 加えてH3Cジャパンでは、パートナーの開拓も継続する。「ディストリビュータについてはこれ以上増やすつもりはないが、お客さまと接する二次店については、各業種、地域などに強いところがそれぞれ存在するので、これを開拓したい。そのためにも、一次店と変わらない手厚いサポートを当社からも提供する体制を作る」(久保田社長)とのことで、エンドユーザーへのリーチを今以上に強くしたい考えを示している。「こうした施策によって、レイヤ2/3スイッチの分野で、ワールドワイドと同じ10%のシェアを3年後に狙いたい」(久保田社長)。


(石井 一志)

2009/7/22 15:46